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DCC自動運転ガイド
ここでは、DCCを使って鉄道模型をフルに自動運転するために必要な機器や使い方をガイドします。基本的に、デスクトップステーションのDCCコマンドステーションを用いた自動運転システムの構成方法を紹介しています。
紹介資料
PDFで簡単な資料を提供しています。
DCC自動運転ガイド(PDF) 1.5MB, rev.1 (2019年3月31日)
自動運転への道
自動運転で、たくさんの列車を自由自在に動かしたい、という願いを叶えるモノが自動運転システムです。しかし、自動運転システムは万能ではありませんし、使いこなすためには技術を磨く必要があります。最初から難しいものにチャレンジして、行き詰まることは避けなければなりません。まずは1車両の単純往復、次は2列車の行き違い運転、その次は急行運転・・・などと、ステップアップしていくことが非常に重要です。
また自動運転は、集電不良やショートとの戦いでもあります。これらのトラブルが発生すると、きちんと復帰させるようにプログラミングしなければ、手動で初期位置に初期化する手間1)が掛かります。これらのトラブルは、どんなに慣れていても発生します。最初から複雑なシステムを作ってしまうと、解決することは簡単ではありません。
よって、はじめに最初から大きなものを作ろうとしないことが重要です。こつこつと積み上げていくことが、技術の着実な獲得のためには不可欠です。トラブルにハマり、結局断念するという事がDCCではよくあります。非常に勿体ないことです。少しずつ、色々な人とイベントなどでコミュニケーションして情報交換をしながら、作り上げていくことが、後々の大きな糧に繋がるでしょう。
実のところ、1つの線路を共有して走行させる場合に、実用に耐えうる同時走行車両数はそれほど多くありません。単線の行き違いや、急行運転などは、2編成程度でも十分、楽しめるものです。ぜひ、以下の動画をご覧下さい。
行き違い・追い越し運転の例(鉄道模型芸術祭2019 NGPブース):
動画を見ていただければ分かりますが、自動運転だけでなく、自動運転を実現するジオラマ・レイアウトにも力をいれたりすることで、全体的な完成度(つまりは満足度)を高めることが可能です。自動運転を極めるためには、自動運転以外の部分にも手広く知識を吸収し高めていくことが、完成度を上げるためのコツとなります。
あなたの世界観を、レイアウトやジオラマ、車両、運転パターンを含めて、一つの形に落とし込む作業となるわけです。つまり、自動運転は、コンセプトで決まると言えるでしょう。簡単な自動運転でも、バランスが取れ、テーマやコンセプトが明快であれば、自分自身も、それを見る周りの人も、感嘆の声をあげるでしょう。
既に実践されている有志の記事
Youtubeやブログ等で、有志が自動運転の成果をレポートしています。
用意するもの
- 自動運転機能が用意されたDCCコマンドステーション
- 在線検出器の本体2)
- 在線検出器用のセンサ類、センサレールなど
- 在線検出器用のケーブル
- DCC車両
- DCCポイント
- レール
- フィーダ線
自動運転の実現方法
S88-Nに対応しているコマンドステーションは、Desktop StationのDSmain R5.1やDSair2、そのほかメルクリンのCS2やCS3となっています。
DesktopStationでは、大きく2種類の自動運転の実現方法を提案しています。なお、両方ともパソコンが必須ですが、
(1) パソコンを使った自動運転
Windows用の無償ソフトである、Desktop Station Softwareを使って、USB経由でDSmain R5.1、DSair2等をコントロールする方式です。常にパソコンが必要ですが、メモリや自動運転プログラミングの容量の制約が事実上ありません。また複雑な動きが可能となります。
商品 | 価格帯 | 備考 |
---|---|---|
DSmain R5.1 | 26800円 | Desktop Stationでのフラグシップ機、PC接続用。 |
S88デコーダ | ものによりけり | Nucky、Fujigaya2等から販売されています。 |
ACアダプタ 12V/2A | 1000円 | 秋月電子などで購入可能。センタープラス、内径Φ2.1mmのもの |
USBケーブル | 108円 | 100円ショップで購入可能。PCとの接続に必要。 |
フィーダー線 | 500円くらい | 使用するレールによって異なります。 |
DCC車両 | ものによりけり | DCCデコーダを搭載していれば何でも可 |
(2) ArduinoによるDCC自動運転
パソコンを使って、ArduinoのC言語プログラミングを行って、その内容をArduino Nanoに書き込むことで、実際に使うときにはパソコンなしで動かせるシステムです。プログラミングが得意な方は、ArduinoでのプログラミングでDCCの自動運転を始めることができます。必要なものは以下の通りです。
比較的シンプルなコントロールや、自動運転だけでなくボタン操作で自分オリジナルのコマンドステーションに仕上げることも出来ます。
商品 | 価格帯 | 備考 |
---|---|---|
DSair2 | 12800円 | Arduino nanoベースのコマンドステーション |
ACアダプタ 12V/2A | 1000円 | 秋月電子などで購入可能。センタープラス、内径Φ2.1mmのもの |
USBケーブル | 108円 | 100円ショップで購入可能。Arduino nanoに自動運転ソフトを書き込むのに必要 |
フィーダー線 | 500円くらい | 使用するレールによって異なります。 |
DCC車両 | ものによりけり | DCCデコーダを搭載していれば何でも可 |
(3) スマホによるDCC自動運転
DSair2の機能であるBASIC実行エンジンを使用し、スマホ上から自動運転の制御を行います。S88-Nも使用することができます(要改造)。
商品 | 価格帯 | 備考 |
---|---|---|
DSair2 | 12800円 | Arduino nanoベースのコマンドステーション |
ACアダプタ 12V/2A | 1000円 | 秋月電子などで購入可能。センタープラス、内径Φ2.1mmのもの |
USBケーブル | 108円 | 100円ショップで購入可能。Arduino nanoに自動運転ソフトを書き込むのに必要 |
フィーダー線 | 500円くらい | 使用するレールによって異なります。 |
DCC車両 | ものによりけり | DCCデコーダを搭載していれば何でも可 |
自動運転の基本となる在線検出
DCCといえば、複数の車両を1つのレールに乗せて制御する自動運転が醍醐味です。しかしながら、気軽に自動運転を行うことは意外と難しいです。そこで自動運転に必要な機器は、在線検出システムです。車両がどこにいるのか、レールの各所に検出器を置いて、そこで検出したら駅に止めるとか、ポイントを切り替える、信号を変化させるなどの動きをプログラミングして自動運転を実現できます。
自動運転に必要な在線検出システムには以下の種類があり、様々な特徴があります。
- Loconet(デジトラックス社、カトーが採用)
多機能な在線検出機能を提供。日本では在線検出機器や信号機などが入手困難。 - S88-N
メルクリン社が提唱したシンプルな在線検出方式でヨーロッパの多くのメーカーが採用。Desktop Stationが日本で採用しており、在線検出機器も複数の種類が販売されている。
Desktop Stationは、Ethernetケーブルで簡単に引き回しが可能なヨーロッパ式のS88-Nシステムの普及促進を行っております。日本では以下のメーカーがS88対応の機器を発売しており、以前の輸入品のみであった状況から入手性が非常に良くなっています。
- Fujigaya2 S88 Detector 赤外線反射検出式
- Nucky s88-N Train Detector 電流検知式
- Desktop Station S88ボタンデコーダ ボタン式(手動)
このほか、本場のヨーロッパからだと、Tams elektronikやLDT、Digikeijs等のメーカー製品を海外ネット通販経由で輸入・購入ができます。自分の環境とS88デコーダの機能を確認して、ご購入ください。
自動運転のプログラミング
自動運転を実際に行うためには運転パターンをプログラミングする必要があります。CS2やECoSではコマンドステーション機器単体で自動運転が実装できますが、自動運転が可能な機能や範囲は限定的です。PCと接続してPC上で動かす自動運転ソフトでは、超高機能なJMRIやRail&Corpなどがあります。
Desktop Stationでは、この間を埋めるためのソフトウェアDesktop Station SoftwareとDSair BASIC (DSbasic)を開発し、DSair2やDSmain、旧商品向けに無償で提供しています。独自のかんたんなスクリプトを用いて、ルートやレイアウト画面と連動して自動運転をお楽しみいただけます。
応用例
以下の方がDesktop Stationの機器を使用した応用例を披露されています。
- 小スペースH0ゲージのススメ (Nameless City)
- DCCで遊ぶ-3 / 在線検出と自動交互運転 (Nameless City)
- DCCで遊ぶ-1 / アナログ的にDCCを使う (Nameless City)
サポート
自動運転にチャレンジしてみて、困った!どうすればいい?という疑問や質問が出てくると思います。
そのときには、デジタル鉄道模型フォーラム3)の自動運転関連のスレッドに質問を投稿しましょう。もし、該当するスレッドが無ければ、自分でスレッドを立てて質問してももちろん構いません。
その他、DCC関連のイベント等に参加して、スタッフや来場者と雑談をすることも重要です。