音の収録・MBU1600Y-3

オープンサウンドデータを構築するうえで、非常に重要なのが音の収録です。ベースの音が無ければ、サウンドデータを作ることはできません。コツコツと、必要な音を構築していくのは膨大な時間と努力によって実現されるのです。オープンサウンドデータは、多くの方に知っていただいて使ってもらいたいという思いで無償で公開してます。オープンサウンドデータをご利用の皆様におかれましては、「オープンサウンドデータをこの模型に入れたよ!」等、積極的なアピールをお願い致します。

さて、先日公開した西武40000系30000系ですが、実はちょっと問題がありました。空気圧縮機(コンプレッサ、CP)の該当する音源が手元になく、E233のCP(ナブテスコ社MH3124-C1600SN,スクリュー式)を当てたのですが、全然音が違うな、ということでどうにか改善が必要でした。西武30000系と40000系には、三菱電機のMBU16000Y-3(スクロール式CP)を使わないといけません。

ということで、収録に行ってきました。西武40000系と30000系を比べると、30000系が一番遭遇率が高いので、30000系を収録ターゲットとしました。そして、CPの搭載された車両の床下の音が撮りやすいのは、線路のそばの道路からなので、収録できる駅を探し、CPのある車両のそばから録音できることを確認して、収録作業を実施しました。以下は、その収録の様子。

勘のいい方は、お分かりになると思いますが、いつCPが動くかは分かりません。CPの起動と停止の時間、ずっとそこにいてくれることはほぼありません。たいてい、良いところで出発してしまいます。そして、そのあと、30000系が何回来てくれるかも分かりません。この場所で1時間以上、運に身を任せて収録をひたすら繰り返しました。いったん駅を変えて、もう一度収録も行いました。なお、30000系以外が来ても、そのうち使うかもしれないので全て収録です。

そして、何とか収録できたのが以下。しかし、他の電車の加速音が入ってしまっています・・・。

コンプレッサ起動時の音:

コンプレッサ停止時の音

午前中かけて収録して、結局失敗で終わり・・・ということにはしたくないので、加工技術を使ってリカバーすることにします。DCCサウンドの開発でAudacity(無料)とセットで使うのが必須なツールとなった、SpectraLayers7を使って、電車の加速音を除去しました。SpectraLayers7から、AIによる自動音分離機能が搭載され、いろいろなノイズ(継ぎ目音、人の声、VVVF加速音などを自動分離してくれる)を細かく分けてくれるようになったため、作業が大幅に効率化しました。

隣の番線から発車してしまって被ったものをうまく消すことに成功しましたが、2つの別々の条件で収録したせいか、収録角度や位置が微妙に違うので、同じCPの音とはいえ、そのままでは上記の2つの音はきれいにくっつきません。そこで、大きく音が切り替わる部分を境界にすることで、自然に聞こえるようにつなげてしまいます。

最後に、音量やフィルタ(模型の小型スピーカーでは再生できない300Hz以下の音の除去、SIV音の除去など)などで全体を模型映えするように調整し、完成したのが以下の音です。

このような、地道でコツコツとした作業と、音の収録が難航しても、それをリカバーするための音の加工・編集技術などを駆使して、オープンサウンドデータは実現されています。今後もオープンサウンドデータを発展させていくためにも、皆様がオープンサウンドデータを使って楽しんでいる姿をどんどん発信していただくことが、非常に重要です。ぜひともご協力をお願いいたします。

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