KATO Nゲージ向けDCモータのBEMF特性

Nゲージの車両は、HO/16番と比較して非常に軽いことや、モータも小型であることから、挙動・運動特性がだいぶ異なります。基本的には、重いほうが速度変動や走りは安定しやすいです。鉄道模型の走りにこだわりたい人は、Nゲージよりも、HO/16番の方がより楽しめるかもしれません。安価な車両がNゲージと比べて、ほとんどないので、好きな車両で楽しみたい人には厳しいですが・・・。

HO/16番ではそこまで気にならない低速特性や、走行中の速度変動も、どうも気になってしまう状況が出てきているため、まずはモータごとにBEMF特性がどれほど異なるのか、調査しました。

ここでの評価項目は、BEMFの特性のみです。実際にトルクが出ているか、安定走行するか等の評価はしておりません。あくまでも、DCCデコーダで速度検出機能としてBEMFを取得するときの検出ばらつきのみを評価基準にしています。低速から高速まで、きれいに直線を描き、線の幅のばらつきが少ないほうが高評価となります。速度ごとにバラバラしていると、ネガティブな判定になります。

それでは、見てみましょう。

KATO GM-3 (E233内蔵のタイプ)

KATOのNゲージ車両で、かなり使われていたGM-3モータです。ここでは、E233に搭載されていたモータを外して特性を測定しています。低速域はBEMF検出ができない条件がありますが、それほど悪いわけではありません。高速域は振動しますが、12Vまでは大きな問題は無いと思われます。オーソドックスで定番となる鉄道模型用モータと思います。

Dioramover Coreless CMK-KAL-01

少々の変動幅を持ちますが、安定して低速から高速域まで線形な動きになっています。これはつまり、かなり特性が良いと言えます。特に低速域でも、BEMFの応答があり、制御しやすいことがポイントです。BEMF特性についてだけしか今回見てないのですが、BEMF特性については、今回の測定対象の中でもっとも優秀なモータと考えます。

ちなみにこのモータ、恐ろしいくらいに振動が少ないです。相当、製造精度がいいようです。

KATO SlotlessSL3

12VDCまでは非常に安定していて、変動も少ないので好印象です。コギングを低減するスロットレスモータですので、その効果が絶大なのでしょう。変動の原因はコギングだったのか、と思うくらいの違いです。振動も少ないです。しかし、12VDC以上をモータに掛けると、BEMF値が振動を起こして正常に検出できなくなっているのが分かります。磁石をかなり入れているようなので、その影響で飽和しているのかどうか分かりませんが、DCCデコーダで使う場合には、CV5を12VDC相当に制限して運用する必要があるかもしれません。よって、あまりNゲージでも無いとは思いますが、DCCで動かす前提ですが、新幹線のような高速走行は厳しいかもしれません。アナログなら問題はないとは思います。

RF146W-11210-25

秋月電子で買った、特にNゲージにも入るはずのない、大きなDCモータです。比較用として掲載してます。テキトーに買うDCモータは、たいてい、このような高速域の変動が大きい傾向のある特性がよく出ます。振動も凄いので、振動の成分の影響ももしかしたら入ってるかもしれません。

最後に、実験環境を以下に示します。

DCCコマンドステーションESU Lokprogrammer
DC電源: 15V
制御デコーダDesktopStation SoundDevelopmentBoard
ファームウェア: BEMF特性取得専用版(非公開)
被モータ上記記載のもの
CV設定CV2=0
CV3=10
CV4=10
CV5=255
CV6=127
CV9=0
CV10=2
CV54=64
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