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NゲージでDCC事始め
これからDCCを始めようかと考えている方に、なるべく客観的にDCCやTRAINO製品について知っていただくためのページです。Nゲージをアナログですでに楽しまれていることを前提として、あまり背伸びをせずに10項目に絞って話をしたいと思います。
1 DCCで何ができるの?
「DCCで何ができるの」と聞いても、聞いた相手で帰ってくる答えは聞いた相手や、質問の背景によって変わると思います。アナログで既に楽しまれている方には、①ライト点灯・消灯などを個別に操作する ②同一レール上で複数の列車を運転する ③車載サウンド ④ポイントの統轄制御 あたりがわかりやすい事例だと思います。
DCCでは、パワーパックからモーターに直接電流を流すアナログとは違って、レールとモーターの間に電子回路があってコマンドステーションから指令を送って操作します。走行の状態に限らず、さまざまなギミックを実現することができます。また、電気工作としてやりたい機能を自由に搭載できるので、できることは無限です。
2 完成品はありますか?
日本型Nゲージ量産品で、標準搭載されたものはありません。以前はホビーセンターKATOでMRC製サウンドデコーダ搭載品がありましたが、今は発売されていないようです。現在一番手軽なのはKATOのDCCフレンドリ製品で、指定されたDCCデコーダを買ってきて差し込むだけ(はんだ付けなし)が一番の近道です。
日本のメーカから完成品が発売されない大きな理由は、NゲージのDCCユーザーが少ないことだと思います。日本でのNゲージの位置づけは、手軽さや実物同様の長編成をHOゲージより簡単に楽しめることであり、高機能を求めるユーザはどちらかというとHOゲージを好まれるでしょう。(しかも、そのHOゲージでさえDCCが一般的かというとそうでもありませんが)
一方、海外製品に目を向けますとDCCデコーダ標準搭載品やサウンドデコーダ搭載品が、FleischmannやMiniTrixから普通に発売されています。日本でも、海外模型専門店なら普通にDCC製品を購入することができます。海外Nゲージに限るとDCC比率は非常に高いと思われます。
3 車両加工(DCCデコーダ搭載)は難しいの?
完成品がない現状ではご自身での車両加工が必要です。それが難しいかというと様々だと思います。上記の通りDCCフレンドリ車両に指定のデコーダをとりつけるだけならさほど難しくはないと思います。DCCフレンドリタイプのサウンドデコーダならはんだ付けは入りません。ただし、それ以外の改造になりますと「Nゲージ車両の分解・再組み立てができること」と「はんだ付けを含む、ある程度の電子工作の経験」は必要になると思います。また、改造作業においては段取りを考えて必要なチエックを行いながら慎重に作業できることも重要です。
4 だいたいいくらかかるの?
「Nゲージっていくらかかるの」と同様、人それぞれ遊び方は異なるので模範的な答えはありません。一つの例として、アナログではパワーパックとレール、フィーダーケーブル、モーター車は最低1つ必要だから1万前後だと言えるでしょう。それに対してDCCの場合のパワーパック相当(コマンドステーション)は2万円前後の価格です。また、車両にとりつけるDCCデコーダも2千円〜4千円ほどの価格です。
ここからはTRAINO製品の宣伝になりますが、DCCを小さく始めて様子を見たい方用に簡易コマンドステーションを使ったセット(販売価格4980円〜)を準備しました。サンプルを見てから購入いただきたいので、現時点ではアライヴ さんのみの取り扱いです。
5 噂のオープンサウンドを試したいのですが何を買えばいいの?
オープンサウンドデータはHOと共通のものであり、その音質も国内HOゲージの有名なサウンド機に勝るものもでてきております。それがNゲージにも搭載できるので、ひと昔からすると夢の様です。その、オープンサウンドデータを利用する場合には、HOゲージと同じDCCサウンドデコーダであるLoksound5micro(ドイツESU社製)を使います。価格は15000円程度(DesktopStation部品頒布)とたかめですが、その性能を考えると妥当ともいえます。
KATO製の電車(DCCフレンドリ対応車両)の場合の一例を説明します。LokSound5micro以外にEC-Slimイージーセットとスピーカー(nagodenさん頒布品など)を購入してください。なお、loksoundの型番によってはスピーカーが付属する場合もあります。
これらをM車にとりつけたときのイメージ図です。DCCサウンドデコーダは、ECSlimのコネクタに装着します。スピーカーはEC-Slimの端子にはんだ付けが必要です。EC-SlimのEM13形装着ソケットからアダプタを使って、ExpBoardにつながります。
なお、音源(オープンサウンドデータ)の書き込みは車両装着後、許諾済 鉄道模型店・関連企業・個人事業主リストにて実施してください。ただし、DCCサウンドデコーダをDesktopStation部品頒布から購入した場合に限り、オープンサウンドデータ書き込み済の状態で入手できます。
ExpBoardの使い方については、TRAINO情報室にも情報を展開しています。 また、以前発行した同人誌、 https://desktopstation.net/dojinshi/DCCMAG_2020S.pdf の8ページも参考にしてください。
6 DCCの運転操作は難しい?
方向選択と速度調整しか行わないアナログから比べれば基本知識が必要となるのは確かです。ただ、ロコアドレスの仕組みだけわかれば、大きな問題はないと思います。
ロコアドレスを簡単にいうと、コマンドステーションで車両を区別するための番号です。なお、同時に動かす車両(編成中のM車と先頭車)には基本同じアドレスを割り振ります。コマンドステーションで特別な操作をおこなうことで設定変更できますが、設定した後に電源を切っても消えません。なお、DCC車両のアドレス初期値(購入時)は”3”と決まっていますので、同一レールで複数車両の同時運転をしないのであれば、この初期アドレスのままで使っても問題ありません。
また、アドレスなどが入ったデーターベース(CV値)の扱いがわかれば様々な設定ができますが、ここでは割愛します。
7 DCCって壊れやすくないの?
たまに「高価なDCCサウンドデコーダが焼けた」という事例を聞きますが、理由は3つあります。
一つは工作中に誤配線で壊してしまうものです。DCCデコーダは小型コンピュータボードですので、電源のつなぎ方を誤ると高い確率で故障します。これまで20個以上のLoksound5micoroを車両に搭載しましたが、一つだけ誤配線で壊しました。(ただ、購入店(ドイツ)に連絡したところ、正常品に交換してもらう神対応を受けました)
もう一つは、一部メーカーのDCCデコーダの品質不良です(loksoundではありません)。電気回路設計としてちょっと疑問がある設計でした。
三つ目は、利用が禁止されているPWMパルスコントローラを使うことでそのパルス信号がDCCデコーダの設定を不用意に書き換えて起こる事象です。この場合は初期化(リセット)すれば復旧できますので、慌てないでください。
8 DCCを始めるとアナログはやめるの?
そんなことはありません。金銭的な問題、またDCCに適さないメーカーや小型車両などで製品の構造上DCC化が困難な商品もあります。実際には、多くの方がアナログも並行してお持ちだと思います。
9 貸しレイアウトでDCCは可能?
お店の方針とその時の状況(他のお客様がいるか)で変わるでしょう。 多くの貸しレイアウトでは、DCCコマンドステーションの持ち込みが可能です。フィーダーは先方に合わせて準備する必要はあります。また、DCCサウンドは他のお客様(他のグループ)がいない場合にOKとすることが多い様に感じます。DCCサウンド車両を持ち込むと、貸しレのオーナーさんも興味を持たれて声をかけられることも多いです。
10 DCCに詳しい方に話を聞きにくいのですが・・・
DCCに詳しい方は、鉄道模型のみならず電子工作を趣味にしている人が多いようです。そのような方同士ですと、DCCのみならず電気回路やコンピュータの知識があることを前提にして会話が弾む場合も多く、横から見るととっつきにくいと感じることがあるかもしれません。DCCの疑問や不具合の質問をお願いするにあたっては、まずは状況をきちんと整理し、相手の話をよく聞いて、また礼儀ある態度で接していただければ、何の問題もないかと思います。