目次
デジタル鉄道模型・DCC用語集
よく出てくるキーワード、用語をここにご紹介します。ここに掲載された解説は、著作権フリーで、自由に引用、コピーして構いません。
なお、内容には間違いが含まれるケースもあります。予めご了承ください。
海外型
日本以外で運行されている車両の模型のこと。 日本国内で海外型の鉄道模型を販売しているショップで購入するか、ドイツやアメリカなどから自分で輸入する方法がある。自分で輸入する場合にはクレジットカードが必須である。また、送料が数千円、輸入消費税がかかるケースがある。ただし、自分で輸入する方が総じて安い。
故障したときには、購入した店とメールで交渉が必要である。この辺のリスクも考えて判断するべきである。
日本型
日本で運行されている車両の模型のこと。 KATOやTOMIXなどから販売されている。
コントローラ
鉄道模型車両の制御装置のこと。コマンドステーション、パワーパックなどと同義。
コマンドステーション
鉄道模型車両の制御装置のこと。特に、デジタル対応のパワーパックやコントローラをこのように呼ぶケースが多い。
ハードウェアのみで構成されたものを示すことが多く、自動運転のためのソフトは含まないケースが多い。
パワーパック
鉄道模型車両の制御装置のこと。特にアナログの制御装置をパワーパックと呼ぶ。
スロットル
コマンドステーションやパワーパックにつなげる手元で操作するための端末のこと。7セグや液晶がついている場合もある。
ショート,過電流,OC
電気の+とーが接触して大電流が流れて焦げたり部品が故障する現象のこと。
車輪のスパークとは若干異なりますが、電流が大量に流れる点は同じです。
オームの法則に数字を入れると分かりやすい。
R=0となるので、I=V/R=V/0=∞[A] 無限大の電流が流れる(実際は電線などに微小な抵抗成分&ACアダプタの限界があるので数十アンペア程度になる)
過電圧
線路やACアダプタの電圧が高くなりすぎること。通常はACアダプタの故障なので交換しなければいけません。 ACアダプタは暑いところ(30℃超)に置いておくと、数年でダメになります。
NMRA DCC規格で、ゲージごとに電圧の範囲が決まっています。目安は以下の通りです。
日本型: 12V 欧州型: 15-16V メルクリン: 16-18V
接触不良
線路と車輪の接触が悪くなり、走行やサウンドがうまく動かなくなる現象のこと。
車輪の清掃やレールの清掃を怠ると発生しやすくなる。接触不良になると、突入電流という現象で電流が流れすぎて、レールや車輪に目に見えない微細な酸化膜や埃のこびりつきが発生し、劣化がどんどん進むので注意すること。全車集電や、車両を重くすることで対処できる。
欧州系の車両の動力車が、基本的にダイキャストボディなのは、この接触不良を意識しているケースが多い。プラ製車両の場合は、通電カプラーを使用して全車集電にしているケースが多い。
メルクリンの場合は3線式で、中央レールは専用のシューを使って集電し、レールからは2線式の倍の車輪数で集電するため、理論的に接触不良に強いことが証明されている。
突入電流
デコーダの基板上に含まれているコンデンサが、電源OFFのときは空っぽの状態ですが、電源をかけた瞬間、勢いよく電流が流れる現象。水道の蛇口をひねるとき、最初の飛び出しが凄いことを想像ください。
通常の数倍~10倍の電流が流れるため、回路や車輪・レールに負担(金属や被覆、電子部品の劣化)がかかると言われています。トマランコンデンサ回路は、抵抗を挟むことで突入電流を調整することができ、コンデンサから放電するときはダイオードを通るので無駄な電流消費を抑えるので、この現象を効果的に防止することができます。
トマランコンデンサ
Keep-alive、Keep-arive、エナジーストレージ、瞬低防止コンデンサなどなど、メーカーによって呼称は異なるものの、デコーダに大きいコンデンサ(100uF超)を装着して、突入電流や、接触不良などの影響からデコーダを守るための追加部品のこと。抵抗とダイオードというシンプルな部品でできています。回路図は以下の通りです。
海外のメーカーは、こんな簡単な部品で暴利をむさぼっているので、自作する方が良いです。
スマイルコネクタ
DCC電子工作連合のチームが開発したDCCデコーダのファームウェア書き換えコネクタ。 スマイルデコーダシリーズ、ワンコインデコーダ、MP3サウンドデコーダが対応している。
TYPE A
AVR向け。Arduinoベースのデコーダに使用する。TypePと互換性が無いので注意。
TYPE P
Nucky製のPICマイコンベースのデコーダに使用する。TypeAと互換性が無いので注意。 詳細はNuckyのページを参照。
プログラミング
デコーダの設定を行うこと。CVプログラミングなどと言うケースがある。
テスタ
電圧や電流、抵抗値などを測定するための測定器。DCCの機器の開発にはよく使うが、DCCの機器の動きを見るときにはほとんど使い物にならないケースが多いので注意。そのときはオシロスコープを使うことになる。
・レールに流れるDCCの電圧は測れない(高周波交流のため) ・モータ制御をする車載デコーダの出力は測れない(普通の一般向けテスタはPWMは測定できない)
細かい解説はこちらから。
アドレス
車両のアドレスと、アクセサリのアドレスの2種類がある。 車両のアドレスには、ショートアドレス(2桁アドレス)とロングアドレス(4桁アドレス)がある。
選択式、非選択式
ポイントのレールの極性をポイントの切り替え方向で遮断したりするかどうか選択できること。 DCCでは、常時、電流を流す必要があるため非選択式が使用される。
ケーディーカプラ(Kadee)
Kadeeという会社のカプラ(連結器)のことです。一般名としてはマグネティックカプラとも呼ばれます。
リアルな車両用連結器で、磁石を仕込んだ線路上に連結器を置くと解結できます。併結するときはぶつけるだけとシンプルです。
特許が切れているので、いろいろなメーカーからコンパチ品が出るようになりました。ただし、Kadeeのカプラ自体はそれほど高価なものではないので、なるべくは本家のモノを使う方が確実である。
ファンクション
DCCデコーダで制御できる、ライトやサウンドなどの操作機能のこと。F0は必ず前照灯・尾灯などのライトのON/OFFである。
在線検出
車両・機関車が、レールのどの位置にいるかを判別すること。 判別方法として、デコーダの入った車両が消費する電流を検出する方法、光センサで車両がセンサを覆ったかどうかを検出する方法、車両に磁石を張り付けて磁気センサやリードスイッチで検出する方法などがある。
検出方式 | 解説・仕組み |
---|---|
ギャップ | 線路にギャップと呼ばれる電気の流れない区間を作り、その区間とコントローラのトラック出力の間に在線検出器を置き、流れる電流の有無で車両がいるかを検出します。欧州では一般的な方式です。 |
マグネットスイッチ、リードスイッチ | 車両に磁石を取付けて、磁石が近づいた時に動くマグネットスイッチを使用して、車両がいるかどうかを検出します。欧州でも使われている方式です。部品も安価なので線路に装着しやすい。 |
接触スイッチ | 線路に車輪、もしくは集電シュー(メルクリンの三線式のみ)が当たるとスイッチが切り替わるようなバネを用いたスイッチを設置し、そこを通過した車輪が当たることで、車両がいるかどうかを検出します。 |
赤外線反射 | フォトリフレクタを使用して、線路上に赤外線を照射し、その反射の有無で車両がいるかどうかを検出します。 |
光量 | CDS素子を用いて、光の当たる量から、車両がいるかどうかを検出します。日本のアナログ式の自動運転ではよく使用されます。 |
画像認識 | Webカメラなどとコンピュータを用いて、画像認識によって車両がいるかどうかを検出します。 |
RFID | 車両にRFIDタグを取り付けておき、線路に設置したRFDIリーダーを通過した際に車両がいるかどうかを検出します。 |
デコーダの工場出荷設定への戻し方
CV8に、8を書くと、デコーダは工場出荷時の設定に戻ります。なお、メーカーによっては、8ではなく別の数値である場合があります。説明書でCV8の内容をご確認ください。 鉄道模型販売店などであらかじめ設定して販売している商品の場合(お店独自のDCC車両商品のケース)、この設定がすべて消えてしまいますので、もしよくわからない場合には、購入した模型店に確認することをお勧めします。
たとえば、ESU社の代表的なサウンドデコーダであるLokSoundなどをベースに、お店独自でサウンドを搭載し、複数のCV番号を調整して組み込み済み完成品として販売しているケースがあります。この場合、CV値はESU社の初期設定と異なっています。よって、CV8でリセットするとお店が設定したデータが消えて元に戻せなくなるわけです。
赤い箱
白い箱
Desktop Stationが販売しているDSmainのこと。
青い箱
Desktop Stationが販売しているDSblueboxのこと。デコーダのCVの調整に特化したコマンドステーションで、持ち運びしやすい。 配線を変えることなく車両やポイントの試運転ができるのが最大の特徴。
2016年の頃は、「ただの箱」という名前だったが、青色のケースに入ることになったので名前が変わった。なお、シリコンケースの色は赤や黄、緑、灰色などがあり自分で着せ替えできる(秋葉原の千石電商などで販売されているタカチ製のもののみ)
ミント缶
輸入雑貨店(たとえばカルディ等)でよく販売されている、お菓子のミントキャンディーの缶のことである。特に、ALTOIDSというメーカーのミント缶のことを示すケースが多い。世界中で広まっており、入手性も良く、価格も500円程度、大きさも手のひらサイズであることから、電子工作の基板のケースなどによく使われる。
なお、中身のキャンディは、香料が強く好き嫌いが真っ二つに分かれるので、中身はごく一部のミントが好きな人にあげる方が良い。
このミント缶を応用した、ミント缶DCCコントローラというものもある。
アクセサリ
ポイント、信号機などのこと。車両以外のこと。アクセサリデコーダは、ポイントデコーダとほぼ同じ意味である。
アナログ
車両に搭載された電球やLED、モータに直接電流を流して動かす模型制御方式のこと。
100年以上前からあるシステムなので、そろそろデジタルに移行する方が良いと思っています。
オープンサウンドデータ
日本の鉄道車両のサウンドを独自に収録し、ESU社のサウンドデコーダ向けに編集・加工したサウンドデータを無償で公開しているプロジェクトです。
デジタル
車両にデコーダと呼ばれる制御基板を搭載し、デジタル通信を使ってモータ速度やギミックを制御する方式のこと。
ポイント
分岐器のこと。
ポイントマシン
分岐器を動かす装置。ソレノイド型とモータ(スローモーション)型の2種類がある。
モータ(スローモーション)型は、レールが本物のようにゆっくり切り替わるが、マシン自体が大型という欠点がある。サーボモータを用いるものや、ギアボックスを用いたもの(レマコ、トータス)などがある。 道床なし・フレキシブルレールで有名な、シノハラや、PECOのポイントに使用するケースが多い。
ソレノイド型は、日本の模型メーカー(Tomix, KATO, Rokuhan)が一般的によく採用しており、一瞬でレールが切り替わる。
ポイントマシンによっては電流を大きく消費するタイプがあり、デコーダとの相性が悪いケースがあるので注意が必要である。
ポイントデコーダ
分岐を動かすためのDCCデコーダ。複数のポイントを動かす機能を持つものや、小型でポイントの下に取り付けられるものなどがある。
車載
車両の中に入れること。
カプラ
鉄道模型用の連結器のこと。海外の模型の多くは、NEM362と呼ばれる形状の差し込み口になっていて、カプラが簡単に交換できるようになっている。このカプラを交換して、その車両に則したものを設置しているケースが多い。
デコーダ
DCC独特の言い方で、DCCの信号からモータを動かす出力に変換するコンピュータ基板のこと。車両の中に搭載するケースが多い。
デコーダにはいろいろな種類があり、車両のモータを動かすだけでなく、ライトを制御するもの、ポイントを制御するものなど、様々なものがある。
- モータデコーダ モータを回すことができる単機能の車両用デコーダ
- サウンドデコーダ 音が出せるデコーダ
- サーボデコーダ
- ポイントデコーダ(ステイショナリデコーダ、アクセサリデコーダ)
ポイント操作ができるデコーダ。スローモーションマシン用とソレノイド用の2つの種類があるので注意すること。 - FLデコーダ, ファンクションデコーダ
ライトなどを制御できるデコーダ
アシンメトリDCC
非対称DCCとも呼ぶ。
ギャップを切ってやり、アシンメトリDCC用の器具(ダイオードとリレー部品)を設置することで、対応するデコーダを緊急停車させることができる。欧州系のデコーダの多くは対応している。安価なデコーダは対応していないので注意。
メルクリンでは半波整回路を経由するだけで同様のことができる。
アクセサリデコーダ
ポイントデコーダの事。
ファンクションデコーダ
車両に搭載するデコーダで、ファンクション(ライトやギミック)だけを制御できるデコーダの事。
サウンドデコーダ
スピーカーを取り付けることで、音が出るデコーダのこと。走行音や警笛、発車ベルなどのサウンドを出すことができる。 欧州ではESU社のLokSoundが有名である。
DCC連合では、なごでんさんが世界で一番高音質&大容量なMP3サウンドデコーダなど、特徴ある製品をリリースしている。
プログラミングモード
デコーダの設定の機能であるCVの設定モードのこと。具体的には、CVの書き込み・読み込み操作をすることである。
CVプログラミングモードには4種類あり、PAGEモード、DIRECTモード、PHYSモード、OPSモードがある。ほとんどの場合、DIRECTモードが使用される。POM(Programming on Main)と呼ばれる、走行中にCVを変更するモードはOPSである。
ランド(基板)
スケッチ
Arduino独特のキーワードで、いわゆるソースコードのこと。スマイルデコーダでも、DCCデコーダのソフトのことをスケッチと言う言い方をしているケースが多いです。
オープンソース
ソフトウェアの設計図であるソースコード(ソース)が、公開されていること。
多くの場合、自由にコピーして使用できる。ただし、自分もオープンソースにしないといけないケースもあるので、業務利用する場合には注意が必要である。
オープンソースのライセンスでは、GPLやLGPL、BSDライセンス、MITライセンス、NYSLなどが有名である。
しきい値
スレッショルドともいう。反応するかしないかの基準となる水準のこと。
たとえばBEMFのカットオフ値も、BEMFが動作するかしないかの速度を決めるための基準となる水準、しきい値である。
モータドライバー
モータを動かすための電子部品・IC。デコーダでは、様々なモータドライバのうち、ブラシ付きDCモータ用のICが使用される。対応電圧は、モータのノイズなどを考慮し、32V以上であることが望ましい。
ICの直近には、必ず1uF程度の特性の良いフィルムコンデンサまたはセラミックコンデンサを置く必要がある。出力のオーバーシュートを抑制するためである。(細かい理由はパワエレの教科書のスイッチング回路の章を読んでください)
DC/DCC自動切替アダプター(通称ドッチーモアダプタ)
DCCとアナログ(DC)を全自動で切り替えるアダプターのこと。デコーダ・モータと車輪の間に入れることで自動で切り替える。 仕組みとしては、DCCが高周波交流なことを利用した倍電圧回路を利用している。
フルブリッジドライバ
モータドライバ内部に組み込まれている、半導体スイッチ回路のこと。直流から交流を作れる。ハーフブリッジという回路を2つ用意すると、フルブリッジ回路になる。
一昔前は、バイポーラ型(NPN,PNP)トランジスタで構成されていたが、発熱やスピードが遅いので、最近はMOS-FETが主流である。
また、MOS-FETで組むときに、Nチャネルだけで構成された回路と、Pチャネル・NチャネルのMOS-FETを組み合わせた回路の2種類がある。後者の方が低コストで、欧米のDCCメーカーが一般的によく使うが、電流を大量に流せない欠点がある。前者の回路は、10Aや100Aなどの大電流が流せる回路が構築でき、DesktopStationがメインで採用している。産業用のモータ駆動回路では一般的に使われる信頼性の高い回路である。
ワンコインデコーダ
昇圧
電圧を上げること。DC/DCコンバータという部品を使ったりする。反意語は、降圧。 昇圧USBケーブルなどを使うと、モバイルバッテリやパソコンからの供給でDCC車両を動かすことができる。
両極性(ヘッドライト)
+と-の極性が一つではなく、逆のパターンもある事。たとえば、アナログの車両の場合、レールの極性は進行方向に応じて逆になるので、ヘッドライトなどは電球やLEDを逆並列にして光る経路を変えることで、実現しているケースが多い。
デコーダの出力は、極性付きのものや、両極性に対応したものなど、モノによってさまざまなので、気を付けること。
ブートローダ
デコーダやコマンドステーションの内部で使用される、OSのようなソフトのこと。 ここでは、Arduinoのブートローダのことを特に指す。
レギュレータIC
大きめの電圧を、ある電圧に落として供給してくれるIC。三端子レギュレータなどとも呼ぶ。 電圧を落とす仕組みで、抵抗のジュール熱を用いて発熱するので、ヒートシンクなどを付けないととても熱い(表面は50℃くらいになる)
最近は少々高価だが、発熱しないスーパー三端子レギュレータ(DC/DCコンバータ)も登場している。
AC
・メルクリンが採用している、中央にレールを設置した3線式レールのこと
・3線式レール対応車両のこと
・AC対応車両は、原則としてデコーダを内蔵している。メルクリン以外のメーカーではDCCデコーダの機能を有しているハイブリッド型のケースが多い。ただし、レールはメルクリンの線路のみサポートとなるので気を付けること。
ACアダプタ
コンセントの電源(日本だと100V 50Hzまたは60Hz)から、直流の電源(12V, 16Vなど)を作るための電気製品。
現代では、技術の発展のおかげで、全世界共通で使える製品が多い(ごく一部で、海外のコンセントに対応していない製品もあるので注意)。ただし、プラグ(形状)が異なるので、トラベルアダプタなどの部品を取り付ける必要がある。
Ack
デコーダの応答のこと。電流を流すために車両の場合は微動する。 CVで設定した時や、CV値を読み出すときに発生する。
Aruduino
イタリアで開発された、教育向けのマイコンボードである。資料や情報が全世界で非常に豊富であり、学習には最適である。
Atmel社(現在のマイクロチップ)のATMEGA328Pというマイコンを標準的に採用しており、非常にバランスの良い構成と、シールドと呼ばれる拡張基板で機能拡張できるところが特徴である。
Arduino IDEと呼ばれる開発環境も、シンプルで分かりやすく、MacやLinuxでも動くため、Arduino以外のマイコンボードのソフト開発でも使うケースがよくある。
DCC電子工作連合のデコーダやコマンドステーション類は、Arduinoをベースに開発をしているケースが多い。
Aruduino IDE
ATMEGA328P
Atmel社(現在はMicrochip社)が開発・販売しているマイコンのこと。 Arduino UNOで標準採用されている。
AUX
DCCデコーダの出力端子のこと。
AUX(Power)と書かれている場合は、線路電圧を整流した直流が、ONのときに出力されます。OFFのときには出力されません。 AUX(Logic)と書かれている場合には、5Vまたは3.3V(デコーダに依る)の信号が出力されます。電流はほとんど流せないので、トランジスタで出力回路を自分で作る必要があります。ここで説明している意味がよく分からない場合は、使わないようにしてください。
BiDi / Railcom(NMRA), Transponding(Digitraxx)
DCCを拡張した、制約付きの双方向通信機能です。ギャップを区切る必要があり、デコーダとの通信には専用のアダプタが必要になります。レンツのRailcom(BiDi)と、デジトラックスのTranspondingが有名です。 全てのデコーダがサポートしているわけではないので、注意が必要です。欧州系メーカーのデコーダはRailcomをサポートしているケースがあります。
BEMF
Back ElectroMotive Force の略。
BackEMF(逆起電圧)という永久磁石モータの現象を使って、モータのスピードを検出する方式のこと。坂道でも平地でも車両のスピードが一定になるという利点がある。車両毎に微調整をCVで行う必要がある。
詳細: BEMF対応
CV
DCCのデコーダには、様々な機能が入っています。これらの機能の動きを変更するための仕組みがCV(Configuration Variable, 設定変更)です。車両にデコーダを搭載したあとでもレールに置いて、何度でも設定変更ができる仕組みになっています。このCVを活用することで、以下のような調整が行えます。
- アドレスの設定
- モータの速度や加速、減速の動き具合の調整
- (サウンドデコーダの場合)サウンドの音の変更、音量調整など
- その他様々な機能の設定
CV1
アドレスを設定するCVのこと。アドレスは、ショートアドレスのことを示します。
CV1に数字を書けば、とりあえずアドレスが変わると思っていただけると良いです。 CV1に数字を書いても変化しなければ、ロングアドレスというモードに切り替わっていると考えてください。
DC
・2線式レール対応車両のこと。
・アナログ方式のこと。
・DC対応車両は、原則としてデコーダは未搭載である。搭載している場合は、その旨の記載がある。
DCC
デジタル・コマンド・コントロールのこと。NMRAが策定した世界共通の鉄道模型のデジタル通信方式。
もともとはドイツのレンツ社が開発し、NMRAに技術を寄贈した。
10kHzの高周波交流を±10~20V程度の電圧で線路に掛けてデジタル信号と電源を車両に送っている。
DCCフレンドリー
KATOが特許を持つ、ワンタッチで車両に搭載できるDCCデコーダ形状の名称。 Nゲージ専用で、KATOの一部の車両が対応している(すべては対応していないので注意)。
EM13(車載モータ用),FL12(先頭車のヘッドライト制御用)というDCCデコーダが市販されている。ただし機能は最小限で、サウンドや室内灯の制御、ファンクションには対応していない。
DCとACの車輪の幅
HOゲージのレールの幅は、NMRAなどの規格で共通化されています。ただし、メルクリンのHOゲージのレールはNMRA規格には準拠していません。
このため、メルクリンの車両(AC)の車輪の幅と、通常の2線式(DC) 16.5mmの車輪の幅は違います。欧州から車両を買う場合にはご注意ください。なお、買うときにお店に頼むと、無料または安価に車輪交換をしてくれます。ネット経由での購入でもちゃんとやってくれます。
詳細: 車輪の幅
DCC Manufacture ID
DCCの製造者番号のこと。この番号は、メーカーごとに8bitのユニークな番号が割り当てられる。
この番号を使って、デコーダのメーカーの区別を行うことができます。
日本では、KATO、永末システム事務所、Desktop Station、名古屋電鉄(なごでん)、Nuckyが登録されている。
詳細は、NMRAページを参照のこと。
Detector
車両の位置を検出するための車両検出器そのもの、もしくは車両の位置情報やセンサの反応結果の情報を集める機器のこと。
Dir(Direct)モード
CVの書き込み・読み込みモードの一つ。現在、主流になっているCVプログラミング。
シンプルにCVのアクセスが可能な仕組みになっているのが特徴である。
DSair2
デスクトップステーションのコマンドステーション。WiFiサーバーを内蔵しているのが特徴で、アプリのインストールが不要で遊べる。
DSairLite
DSair2の廉価版
DSSP
SmileSound用のサウンドデータ作成ツールおよびサウンドデータ書き込みソフトのこと。
https://desktopstation.net/smilesound/index.php?SoundProgrammer
EEPROM
いわゆる不揮発性メモリ、電源を切っても保存できるメモリー。 デコーダでは、CVなどの情報を保存するために使用する。
FX
ファンクションのこと。対応しているファンクション数に応じて、2FX, 4FXなどの言い方がある。
出力が、極性を持つ場合は特に記載は無いが、+/-が入れ替えできる両極性タイプ(アナログ車両のヘッドライト・テールライトのような回路構成向けのもの)をサポートする場合には、両極性FXという言い方もある。
ExpBoard
デコーダをワンタッチで搭載することが可能な、車両に搭載する基板の商品名。アダプターボードのこと。 Expansion Board(拡張基板)を縮めた造語。
DesktopStationとTRAINOなどのDCC電子工作連合のメンバーとなっているメーカーが使用。
KATO
日本の2大鉄道模型メーカーの一つで、DCC機器も販売するなど、デジタルに積極的な会社である。
ただし、DCC機器は全て米・デジトラックス社のOEMであるため、アメリカ式のDCCの癖を理解しないといけない。欧州式の車両が多い人は、ESUやヨーロッパの機器を輸入するなどして取り寄せる方が相性としては良い。Desktop Stationは、欧州式の仕様に合わせている。
ICSP
In Circuit Serial Programmingのこと。マイコンに書き込むための方式で、Arduino UNOが採用するAVRマイコンではこの言葉が使われる。
I2C
データの通信方式の一つで、3つの配線で複数のチップ同士が通信できる。EEPROMやセンサなどの10-100kbps程度の低速通信に使われる。
Loconet
デジトラックスが開発した、模型用通信ネットワーク方式。対応機器を開発するには、ライセンス契約が個人でも必要で、ハードルが高い。
RS485ベースだが、ボーレートが特殊であったりして実装は大変である。
詳細: LocoNet
LokPilot
ESUが製造・販売する、サウンド無しのDCCデコーダ。”LokPilot Fx”という、モータ制御機能の無いタイプもある。
LokProgrammer
LokSoundにサウンドデータを書き込むハードウェアならびにソフトウェアのこと。LokSound専用のツール。LokSound向けのサウンドデータの作成が行える。LokSoundの車両の動きの調整にも使用できる。
LokSound
ESUが製造・販売する、サウンド付きのDCCデコーダ。オープンサウンドデータで公開されているデータを使用することで、日本の車両サウンドを気軽に楽しめます。
mfx,mfx+
メルクリンがリリースした、メルクリンデジタルの後継のデジタル方式です。ESUがM4などとしてサポートしている以外は、コマンドステーションの選択肢はCS2, CS3, MS2しかありません。
DesktopStationで使うためには、MS2に加えてRailuinoキットを使用する以外に方法はありません。MZI NET SHOPで販売中です。
mfxデコーダは、MM1,MM2もサポートしているので古いメルクリンのコマンドステーションをお持ちの方も問題ありません。ただし、ファンクションなどに著しい制約があります。
MM2, MM1
Marklin Motorola 2(メルクリンモトローラ2), Marklin Digital(メルクリンデジタル)のこと。メルクリンが開発したデジタル方式。
DCCと仕様の互換性はないが、ハードは共通化でき、自動切り替えを作ることは難しくないため、欧州のデコーダは、DCCとMM1,MM2の両方をサポートしているケースが多い。
メルクリンデジタルの詳細は、THE MANUAL OF THE NEW MÄRKLIN-MOTOROLA FORMATが詳しいです。
DCCパケットと違って、非対称のパターンが特徴です。
MTC21ピン
デコーダと車両を接続するためのインターフェースの一つ。欧米の車両ははんだ付けや車両改造なしでDCCデコーダを簡単に接続できるようになっているために、このような規格が使用されます。
多機能なサウンドデコーダ、室内灯のギミックの多いデコーダや車両などによく使用される。
NEM6ピン
1.27mmピッチの6×1列のコネクタのことで、小型の車両で採用されるケースがある。
Next18
Nゲージ向けの超小型DCCコネクタです。NEM662とも呼ばれています。Next18Sと呼ばれる、AUX端子をスピーカーに置換えた仕様もあります。基本的にはNext18=Next18Sが標準と思って差し支えありません。
Next18Sにはスピーカーの端子も含まれており、様々な機能を小さなコネクタで実現できます。欧州を中心に対応するデコーダが販売されています。
NMRA8ピン
デコーダと車両を接続するためのインターフェースの一つ。欧米の車両はDCCデコーダをはんだ付けや車両改造なしで簡単に接続できるようになっているために、このような規格が使用されます。
2.54mmピッチ4×2列のコネクタ(ピン)のことで、DCCデコーダで一般的によく使われる形状。 国内メーカーではKATOのHO車両によく搭載されている。
ヨーロッパでは、NEM652などとも呼びます。
NMRA DCCライブラリ
Arduino向けに無償・オープンソース(LGPL)で配布されているDCCデコーダのソフトを作れるライブラリソフト。 DCCのパケット処理を全部やってくれるため、デコーダ自体のソフトに集中して実装が可能です。
詳細: mrrwa
PAGEモード
CVの書き込みで使用するモードの一つ。現在ではあまり使われない。
PI制御
モータのスピードを制御するための方式で、出したい速度と現在のモータの速度の偏差を取って、0になるように出力を自動調整する。 自動調整する応答の速さや変動の範囲をPやIという変数で表現して動作させる。
PWM
Pulse Width Modulation(パルス幅変調)のこと。アナログではなくパルス状で電圧を出力する、最近では一般的な電圧出力方法。
Railuino
Railuinoは、Arduino(wikipedia)と呼ばれる電子工作のためのキット郡を使って、メルクリンのHOゲージの機関車(DCではなくAC式)を動かすコントローラを実現するためのソフトウェア・プロジェクトです。
Railuinoキットは、日本で買えます。MZI NET SHOPで販売中です。
S88, S88-N
メルクリンが開発した在線検出の通信方式。数珠つなぎでS88デコーダと呼ばれる在線検出器をつなげていく。つなげるケーブルがRJ45 Ethernet(8芯タイプ、100Mbps用)を用いたものをS88-Nと呼ぶ。実際に流れる信号は、Ethernetと互換性のないものなので、絶対にPCやEthernet機器に繋いではいけません。故障の原因になります。
シフトレジスタを使った通信方式で、簡単なロジック回路でデータのやり取りができる。最大、32台まで接続が可能である。
DCC電子工作連合が独自に拡張した、S88スロットルというシステムもある。
詳細: S88デコーダの使い方
Short/Longアドレス(2桁/4桁アドレス)
車両アドレスのこと、特に、2桁のアドレスはショートアドレス、4桁のアドレスはロングアドレスと言う。 アドレスを保持する仕組みが違うため、区別されている。ショートアドレスはCV1を書き換えるだけでよいが、ロングアドレスはCV17,CV18及びCV29を変更する必要がある。
SmileDecoder
DCC電子工作連合のスマイラーさんが考案したオープンなDCCデコーダプラットフォーム。
独特のカードエッジコネクタを使用することで、気軽に書き換えできるDCCデコーダという前代未聞の世界初のデコーダが誕生した。 Arduino・ATMEGA、ATTinyなどのAVR系をベースにしているが、Nuckyさんが拡張してPICマイコンも対応させている(物理的な互換性が無いので注意)。
SmileSound
DCC電子工作連合・DesktopStation・Nagoden・DCC館・Fujigaya2・TRAINO・HMXで共同開発している日本製のサウンドデコーダ。16MBのメモリを内蔵しており、日本型にチューニングした設計となっている。サウンドデータはオープンサウンドデータが利用できる。
SPI
4線式同期シリアルとも呼ばれ、クロック・入力・出力・チップセレクトの4つで構成される。eMMCやSDカードのベースとなる通信方式にもなっており、10Mbps以上の高速な通信で使用される。
Stationary
ステーショナリ(ステイショナリ)デコーダなどと呼ぶケースが多く、地上設置型のデコーダのことを示す。車両の中には入れない、という意味である。
STR/DIV
ポイントにおける進行方向が、ストレート(Straight, STR)と、分岐(Diverse, DIV)のこと。
SUSI
デコーダに拡張端子(4ピンのSPI相当)を設け、サウンド出力専用のボードなどを接続できるようにした拡張規格。多くのNext18やMTC21デコーダで、AUX3,AUX4がロジック出力になっているのは、SUSI向けとサーボの2つの目的があるためです。
しかし、サウンドデコーダの高性能化や超小型化が2020年前後に大きく進んだことで、海外でもあまり流行っておらず、使用する必要性はあまり無いようです。
Tomix
日本の2大鉄道模型メーカーの一つで、NゲージとHOゲージを中心に発売している。また関連会社からは、Nゲージベースの鉄コレという名の模型も販売している。
DCCに代わるTNOSというシステムを開発し販売していることを宣言している。ただし、TNOSは、ただのアナログの自動運転システムの製品群なので、DCCとは根本的に異なる。よって、DCCへの無理解が、この宣言に繋がっていると想像されるが、意図はよく分かっていない。
UART
非同期シリアルの通信方式で、入力と出力が同期していないので、いつでも通信できる。RS-232Cなどの通信のベース部分によく使われる。 速度は、200kbps程度までで、通常は38400bpsといった比較的遅い速度で使われるケースが多い。
ZIMO
オーストリアのDCC機器メーカー。Roco等にOEMで機器を提供している。
ESUのライバル企業。