デスクトップステーションが動き始めてから、ちょうど10年になりました。2012年4月の頭にドイツに出張に行き、模型店でPIKO社のDCCデコーダ搭載のHO機関車を手に取って購入したのがデスクトップステーションの始まりです。細かい購入経緯は、ブログに書いてあります。最初は飾るためであって、走らせる目的ではありませんでしたし、鉄道模型を趣味として始めようという気も一切なかったのです。
しかし、買ったPIKOの機関車はDCC対応で3線式ということで、1990年代の私が小学生の時代に遊んでいた頃から20年を経て鉄道模型は大きく進化していることを知り、鉄道模型にのめり込んだのは、皆様の知っている通りです。
デスクトップステーションという名前を付けたのは、その1年後の2013年のゴールデンウイークの頃で、メルクリンのモバイルステーション2用の制御ソフトの名前を、「デスクトップステーション」としたことが由来です。世界最大の鉄道模型メーカーであるメルクリン社が出しているコマンドステーションには、モバイルステーションとセントラルステーションという2種類の製品がありました。それらに対する機器であったことや、「パソコンで動かすのだから”デスクトップ”だろう」という事で、名前をインスパイアして”デスクトップステーション”としたのが、事の経緯です。それほど深く考えたわけではありません。
この10年間は、本当に色々なことがありました。命のリスクもあるようなことが、いろいろありすぎましたが、何とか家族は10年間をやり過ごして無事に生きていますし、デスクトップステーション株式会社を2021年夏に設立し、半導体不足で悩まされてはいますが、事業は徐々に拡大できております。今後の事業拡大・さらなる飛躍のために、13年お世話になった電機メーカーを中退し、より柔軟な働き方の可能な異業種のメーカーに転職し、兼業制度を活用しております。今は2つの会社で働き、一方はサラリーマンエンジニア、もう一方は代表取締役として働いているわけです。一番やらねばならないことは、デスクトップステーション株式会社を設立した以上、より収益と事業を大きくすることです。
デスクトップステーションは、日本国内の鉄道模型のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するソリューションを浸透させることを大きなミッションとしています。「鉄道模型をもっと楽しくする」を実現する大きな選択肢の一つがDCCに代表されるデジタル鉄道模型システムです。10年間で、ユーザーの立場から、完全にメーカーの立場として、デジタル鉄道模型システムに必要な要素を全て自社・DCC電子工作連合内で実現できるようになりました。
公にはしていませんでしたが、2017年夏に、大宮の鉄道博物館のジオラマに、DCCによるポイント制御システム(DSmainR5カスタム品+DSturnout 60台)をBeyondWorks様と共同で納入し、省配線化・配線トラブルの低減等に貢献しています。皆様には公にできなかった大きな実績も着実に積み上げており、皆様の鉄道模型のDXに貢献を続けています。
2017年末の無線型コマンドステーションのDSairの誕生と製品提供、そして2019年のオープンサウンドデータの開始、TRAINO様と共同で進めているNext18やMTC21のDCCコネクタシステムの国産化・製品販売も、デジタル鉄道模型を強化するソリューションとして、皆様に貢献できていると自負しております。
次の10年、さらに飛躍をしなければなりません。数年以内に実現させなければいけないのは、コンペチターのドイツE社やオーストリアZ社等が提供しているカスタマイズ可能な高機能・高音質サウンドデコーダを、自社で実現することです。急ピッチでソフトウェア・ハードウェア・開発環境の開発を進めており、今年のどこかで、DCC超上級者をはじめとする協力者の皆様にご提供を開始します。その後、S88を併用しつつ、RailComを本格的に適用した新しい自動運転システムを提供します。RailComによる列車認識技術により、急行による追い抜き運転や信号制御が、より簡単な自動運転プログラムで実現できることになります。
このカスタマイズ可能な高機能サウンドデコーダとRailCom自動運転の2つの技術は、世界の最先端の鉄道模型技術であり、この技術をデスクトップステーションとDCC電子工作連合は次の10年ないし5年で提供してまいります。日本の鉄道模型技術のDXは、この5年で世界に追いつけることになり、さらに10年後は飛躍を狙うことになります。日本の失われた30年は、デジタル鉄道模型に限ってですが、まもなく世界に追いつくことができ、取り返せます。
これからの10年、それ以降も、鉄道模型をもっと楽しいものにするべく、技術と製品・ソリューションを提供してまいります。
コメント
連続投稿失礼いたします。
まずはDesktopStation10周年おめでとうございます。また大規模レイアウトでの実績も素晴らしいことで、自分がみたあのレイアウトのポイントを御社製品が支えていることを初めて知りました。
今後5ないし10年で日本の鉄道模型のデジタル技術を世界トップレベルに引き上げる、との目標は、これまでの御社の実績からみて実現可能だと思います。心配なのは、依然として日本の鉄道模型メーカーとユーザーの多くがデジタル化やDCCに対して消極的でマーケットがあまり広がっていないことです。もしかして御社の製品が日本ではなく海外で多く使われて評価が高くなり、御社の日本仕向の製品がなくなることが一DCCユーザーとして心配です。
コメントありがとうございます。
日本の模型メーカー等は、DCCのようなデジタル技術への対応には膨大な投資予算が必要なことから、新しい技術には消極的という印象があります。
海外への展開は、確実に行わなくてはいけないのですが、その比率は、なるべく、国内を大きくできたらというのが希望です。そのためにも、ユーザーに「DCCって楽しいな」と思っていただけるソリューションを展開してまいります。