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DCC自動運転ガイド

ここでは、DCCを使って鉄道模型をフルに自動運転するために必要な機器や使い方をガイドします。基本的に、デスクトップステーションのDCCコマンドステーションを用いた自動運転システムの構成方法を紹介しています。

DCCについては、DCCの紹介をご覧下さい。

紹介資料

PDFで簡単な自動運転の構成方法や機器の解説をまとめた資料を提供しています。

自動運転への道

自動運転で、たくさんの列車を自由自在に動かしたい、という願いを叶えるモノが自動運転システムです。アナログでも自動運転は可能ですが、残念ながら、サウンドやギミック、続行運転などで課題が多く、モーターしか入っておらずシンプルが特徴なアナログの範疇を抜け出すことはできません。

自動運転に期待する多くの人にとっては、車両から音や照明等々のギミックが出て、自由に信号機やポイントを制御できて、本物により近づけた形で、自動運転を実現したいと考えているでしょう。

しかし、自動運転システムは万能ではありませんし、使いこなすためには技術を磨く必要があります。最初から難しいものにチャレンジして、行き詰まることは避けなければなりません。まずは1車両の単純往復、次は2列車の行き違い運転、その次は急行運転・・・などと、ステップアップしていくことが非常に重要です。

また自動運転は、集電不良やショートとの戦いでもあります。これらのトラブルが発生すると、きちんと復帰させるようにプログラミングしなければ、手動で初期位置に初期化する手間1)が掛かります。これらのトラブルは、どんなに慣れていても発生します。最初から複雑なシステムを作ってしまうと、解決することは簡単ではありません。

よって、はじめに最初から大きなものを作ろうとしないことが重要です。こつこつと積み上げていくことが、技術の着実な獲得のためには不可欠です。トラブルにハマり、結局断念するという事がDCCではよくあります。非常に勿体ないことです。少しずつ、色々な人とイベントなどでコミュニケーションして情報交換をしながら、作り上げていくことが、後々の大きな糧に繋がるでしょう。

実のところ、1つの線路を共有して走行させる場合に、実用に耐えうる同時走行車両数はそれほど多くありません。単線の行き違いや、急行運転などは、2編成程度でも十分、楽しめるものです。ぜひ、以下の動画をご覧下さい。

行き違い・追い越し運転の例(鉄道模型芸術祭2019 NGPブース):

動画を見ていただければ分かりますが、自動運転だけでなく、自動運転を実現するジオラマ・レイアウトにも力をいれたりすることで、全体的な完成度(つまりは満足度)を高めることが可能です。自動運転を極めるためには、自動運転以外の部分にも手広く知識を吸収し高めていくことが、完成度を上げるためのコツとなります。

あなたの世界観を、レイアウトやジオラマ、車両、運転パターンを含めて、一つの形に落とし込む作業となるわけです。つまり、自動運転は、コンセプトで決まると言えるでしょう。簡単な自動運転でも、バランスが取れ、テーマやコンセプトが明快であれば、自分自身も、それを見る周りの人も、感嘆の声をあげるでしょう。

Comparison

世の中にある鉄道模型の自動運転システムは以下のとおりです。日本ではアナログ向けの単純なシステム(主にサードパーティ)が主流で、TNOSがもっとも高機能なアナログ向け自動運転システムになっています。

一方で海外では、在線検出システムを採用し、膨大なセンサを取得できるようにしていることや、配線パターンを限定せずに自動運転するための機能やプログラミング方法を提供しており、より複雑な構成や、柔軟な配線パターンで自動運転の環境を作り上げることができます。

種別 メーカー システム名 特徴 在線検出
DCC Marklin CS1,CS2,CS3 本体・ソフト一体型の自動運転システム S88
DCC DesktopStation Education Platform スマホで動くブロック図自動運転プログラミング S88
DCC DesktopStation DSair BASIC (DSbasic) スマホだけで動かせる自動運転システム S88
DCC DesktopStation DSair2(DSshield,DSmain等) + DesktopStationSoftware PCで動かせる自動運転システム S88
DCC(Soft) JMRI JMRI 欧米系のコマンドステーションに対応した自動運転ソフト S88,Loconet
DCC(Soft) Rocrail Rocrail 欧米系のコマンドステーションに対応した自動運転ソフト S88,Loconet
DCC(Soft) Rail&Co TrainController 欧米系のコマンドステーションに対応した自動運転ソフト(有償) S88,Loconet
アナログ Tomix TNOS アナログ車両の自動運転システム 独自
アナログ ATORM 鉄道模型自動運転キット 単純往復運転のみ対応のアナログ車両の自動運転システム センサ直接
アナログ 技研HOBBY 自動運転装置 各種線路構成別のアナログ車両の自動運転システム センサ直接

用意するもの

DCC自動運転に必要な機器は、以下が挙げられます。

  • 自動運転機能が用意されたDCCコマンドステーション
  • 在線検出器の本体2)
  • 在線検出器用のセンサ類、センサレールなど
  • 在線検出器用のケーブル
  • DCC車両
  • DCCポイント
  • レール
  • フィーダ線

この他に、駅のホームとか、山などのジオラマのストラクチャーがあると、実感が湧きます。

自動運転の実現方法

S88-Nに対応しているコマンドステーションは、Desktop StationのDSmain R5.1DSair2、そのほかメルクリンのCS2やCS3となっています。

DesktopStationでは、大きく2種類の自動運転の実現方法を提案しています。なお、両方ともパソコンが必須ですが、

(1) パソコンを使った自動運転

Windows用の無償ソフトである、Desktop Station Softwareを使って、USB経由でDSmain R5.1DSair2等をコントロールする方式です。常にパソコンが必要ですが、メモリや自動運転プログラミングの容量の制約が事実上ありません。また複雑な動きが可能となります。

商品 価格帯 備考
DSmain R5.1 26800円 Desktop Stationでのフラグシップ機、PC接続用。
S88デコーダ ものによりけり Nucky、Fujigaya2等から販売されています。
ACアダプタ 12V/2A 1000円 秋月電子などで購入可能。センタープラス、内径Φ2.1mmのもの
USBケーブル 108円 100円ショップで購入可能。PCとの接続に必要。
フィーダー線 500円くらい 使用するレールによって異なります。
DCC車両 ものによりけり DCCデコーダを搭載していれば何でも可

(2) ArduinoによるDCC自動運転

パソコンを使って、ArduinoのC言語プログラミングを行って、その内容をArduino Nanoに書き込むことで、実際に使うときにはパソコンなしで動かせるシステムです。プログラミングが得意な方は、ArduinoでのプログラミングでDCCの自動運転を始めることができます。必要なものは以下の通りです。

比較的シンプルなコントロールや、自動運転だけでなくボタン操作で自分オリジナルのコマンドステーションに仕上げることも出来ます。

商品 価格帯 備考
DSair2 12800円 Arduino nanoベースのコマンドステーション
ACアダプタ 12V/2A 1000円 秋月電子などで購入可能。センタープラス、内径Φ2.1mmのもの
USBケーブル 108円 100円ショップで購入可能。Arduino nanoに自動運転ソフトを書き込むのに必要
フィーダー線 500円くらい 使用するレールによって異なります。
DCC車両 ものによりけり DCCデコーダを搭載していれば何でも可

(3) スマホによるDCC自動運転

DSair2のWebアプリにある機能であるBASIC実行エンジンまたはブロック図プログラミングを使用し、スマホ上から自動運転の制御を行います。S88-Nも使用することができます(要改造)。

商品 価格帯 備考
DSair2 12800円 Arduino nanoベースのコマンドステーション
ACアダプタ 12V/2A 1000円 秋月電子などで購入可能。センタープラス、内径Φ2.1mmのもの
USBケーブル 108円 100円ショップで購入可能。Arduino nanoに自動運転ソフトを書き込むのに必要
フィーダー線 500円くらい 使用するレールによって異なります。
DCC車両 ものによりけり DCCデコーダを搭載していれば何でも可

自動運転の基本となる在線検出

DCCといえば、複数の車両を1つのレールに乗せて制御する自動運転が醍醐味です。しかしながら、気軽に自動運転を行うことは意外と難しいです。そこで自動運転に必要な機器は、在線検出システムです。車両がどこにいるのか、レールの各所に検出器を置いて、そこで検出したら駅に止めるとか、ポイントを切り替える、信号を変化させるなどの動きをプログラミングして自動運転を実現できます。

自動運転に必要な在線検出システムには以下の種類があり、様々な特徴があります。

  • Loconet(デジトラックス社、カトーが採用)
    多機能な在線検出機能を提供。日本では在線検出機器や信号機などが入手困難。
  • S88-N
    メルクリン社が提唱したシンプルな在線検出方式でヨーロッパの多くのメーカーが採用。Desktop Stationが日本で採用しており、在線検出機器も複数の種類が販売されている。

Desktop Stationは、Ethernetケーブルで簡単に引き回しが可能なヨーロッパ式のS88-Nシステムの普及促進を行っております。日本では以下のメーカーがS88対応の機器を発売しており、以前の輸入品のみであった状況から入手性が非常に良くなっています。

このほか、本場のヨーロッパからだと、Tams elektronikLDT、Digikeijs等のメーカー製品を海外ネット通販経由で輸入・購入ができます。自分の環境とS88デコーダの機能を確認して、ご購入ください。

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DesktopStationでは、S88機器を購入しなくても、Webカメラを用いた画像認識技術を用いたCameraS88というソフトウェア在線検出システムを開発し、無償で公開しています。お手持ちのWebカメラを、在線検出器としてお使いいただけます。

自動運転のプログラミング

自動運転を実際に行うためには運転パターンをプログラミングする必要があります。CS2やECoSではコマンドステーション機器単体で自動運転が実装できますが、自動運転が可能な機能や範囲は限定的です。PCと接続してPC上で動かす自動運転ソフトでは、超高機能なJMRIやRail&Corpなどがあります。

Desktop Stationでは、この間を埋めるためのソフトウェアDesktop Station SoftwareDSair BASIC (DSbasic)Education Platformを開発し、DSair2やDSmain、旧商品向けに無償で提供しています。独自のかんたんなスクリプトや、ブロック図を用いて、ルートやレイアウト画面と連動して自動運転をお楽しみいただけます。

DCC自動運転の具体的な解説・応用例

以下の方がDesktop Stationの機器を使用した応用例を披露されています。

DesktopStation 解説記事

DSair2のUSB-PC接続モードを使って、実際に自動往復運転に着目して解説した記事を自動往復運転の実際&チャレンジでご紹介します。

また、自動往復運転でオープンサウンドデータを組み込んだキハ40で自動運転する様子をキハ40でサウンドDCC往復自動運転にまとめています。

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USB PC接続型の例

DCC/MM2シールドから続く、WindowsPCを使った自動運転システムです。PCを使用することで、膨大な量の処理を行わせることができます。

DSbasicでの例

DSair2のBASIC機能を使った自動運転例は以下に紹介されています。スマホも最近は高性能化しており、自動運転を行わせるには支障の無いレベルになっています。しかしながらBASICプログラミングが必要なため、上級者向けです。

Education Platformでの例

DSair2のブロック図プログラミング機能(Education Platform)を使った自動運転例は以下に紹介されています。スマホも最近は高性能化しており、自動運転を行わせるには支障の無いレベルになっています。しかしながらBASICプログラミングが必要なため、上級者向けです。

サポート

自動運転にチャレンジしてみて、困った!どうすればいい?という疑問や質問が出てくると思います。

そのときには、デジタル鉄道模型フォーラム3)の自動運転関連のスレッドに質問を投稿しましょう。もし、該当するスレッドが無ければ、自分でスレッドを立てて質問してももちろん構いません。

その他、DCC関連のイベント等に参加して、スタッフや来場者と雑談をすることも重要です。

1)
ホーミングと呼ばれるもので、自動運転を開始するときの条件合わせのために車両位置を規定しなければなりません。これを自動で行うように作り込むことも重要です。
2)
S88デコーダやLoconet用在線検出器等。コマンドステーションによって異なる
3)
登録無料、会費無料。デスクトップステーションが運営
dccautomatic.txt · 最終更新: 2019/07/25 16:15 by yaasan

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