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目次
さあ!はじめよう! Getting Started
DCCは鉄道模型をさらに面白くする道具です。DCCを使いこなして、鉄道模型をたっぷり楽しみましょう。DCCを使えば、こんなことが実現できます。
- 配線やハードウェアが簡素。同一レール上で複数車両を制御できる。車両もポイントも信号機もジオラマの建物もすべて2本で制御できる。
- スマホやタブレットといったICT端末とも相性が良い。リッチな画面を使って、車両やポイント、信号機を思い通りに制御できます。
- 車両やポイントを命令で制御するため、コンピュータとの親和性が高い。つまり自動運転が安価に短時間で作りやすい。
- 車両に組み込めるギミックが自由になる。音を出す、ドアを開ける、連結開放、照明制御、パンタグラフの上げ下げも自由自在。
- モータの特性に合わせて走行設定をチューニングしておけば遊ぶ時は面倒な開始電圧調整などは一切不要。
- 車両だけで無く、ポイント、信号機、ジオラマの情景の制御もDCCで2本のケーブルだけで実現可能。
つまり、こんなことができます。
- 複数人で、同一線路で遊べる。つまり続行運転が複数で出来る。
- 碓氷峠の連結開放!重連機関車の制御、機回しが再現できます。
- ダイヤ通りに自動運転。思い出の駅の電車の動きを再現。
- 信号とポイントをコンピュータに自動制御させて、運転に集中!気分は運転手!
- 超低速運転、臨場感のあるサウンドやギミックを搭載して制御。
- 電源供給もできるのでジオラマの電源に使用してシンプル化
- ビルの照明も制御。情景をモータなどで動かしたり、ギミックを実現可能。
- システム制御の教育、プログラミング教育に最適。わかりやすい電車を使って機械の制御の仕組みを学べます。
DCC(デジタル)とアナログの違い
車両やポイント、信号機にマイクロコンピュータの入った基板を入れて、動かします。デジタル化で同一線路上の複数の車両、ポイント、その他の機器毎にさまざまな制御が可能!ポイントも線路までの配線もシンプルにできます。
配線は簡単。コマンドステーションから出ている2本のフィーダ線に、並列に配線をしていくだけです。模型車両に入ったデコーダはアドレスという数字を一つひとつに振って、区別します。アドレスには、車両アドレス(Loco)とポイントアドレス(Accessory)の2種類が有り、数値が同じであっても異なるのです。DCCの話題をするときに、単に”アドレス”とだけいうと、通常は車両アドレスのことを示します。
デジタルへの移行は、徐々に進んでいます。デジタルは楽しい!
DCCがお勧めの方
今、鉄道模型をしていて、満足している方はとくにお勧めしません。「何か物足りないな?」や「何か試してみたい」という思いがあるのでしたら、デジタル鉄道模型・DCCに移行すれば、楽しめる世界は大きく広がります。
- 配線が多くて困っている方、配線をシンプルにスマートにしたい方
- 日本型サウンドを楽しみたいみたい方 (オープンサウンドデータもお勧め!)
- 複雑、複数車両の制御、自動運転にチャレンジしたい方
- タイマー式の信号機に不満な方、鉄道模型でも信号制御を厳密にしたい方
- ポイントの配線をシンプルにしたい方
- 電車が好きで、電子工作ユーザー、Arduino、mbed、micro:bitなどのオープンハードユーザー、コンピュータプログラミングが得意な方
- 車両のギミックを搭載して楽しみたい方(自動パンタグラフ、サウンド、サーボ、複雑な照明・ライト制御、連結解放など)
- 本物と同じような、高度な鉄道・信号制御を使ってプログラミング・電気・情報の教育用に使いたい教育関係者
こんなに楽しい世界があります!
DCCをはじめるためには
困ったとき、情報源、コミュニケーションの場としてデジタル鉄道模型フォーラムが活用できます。DesktopStationが運営しており、どなたでも無料で利用できます。
DCCをはじめるためには、レールと車両が必要です。レールは、一般的な鉄道模型と同じものが使えます。
Nゲージであれば、カトーとトミックスがレールを販売しています。HOゲージのレールは日本で入手しやすいものはカトーしか販売していません。Zゲージはロクハンから販売されています。これらのメーカーの製品は、ヨドバシカメラや、模型店、アマゾンなど、入手は容易です。リアリティを追求する方は、日本国内ではIMON(旧シノハラ)、海外ではPECO、ティリッヒといったレールメーカーもあります。
基本的に、DCCをするにはHOが使い勝手・コストでベストです。KATOのUNITRACK HOで揃えていくのが初心者にはお勧めです。もちろん、他のメーカーのレールでもかまいません。
車両は、カトーがDCCにも対応可能な車両(一部)を販売しています。Nゲージ車両であれば、DCCフレンドリーに対応したものがよいです。HOゲージであれば、NMRA8ピン(NEM652)を採用したものがよいでしょう。車両を改造しても構わない人は、ほかのメーカーのものでも問題ありません。
このほかに、車両やポイントなどをDCCに対応させるためのデコーダと呼ばれるコンピュータ基板、デコーダを制御する親となるコマンドステーションが必要になります。デコーダや、コマンドステーションは世界中に多くのメーカーが販売しています。しかし、日本で入手できるデコーダ・コマンドステーションは、それほど多くありません。
DCCの最初の一台は、すべてデコーダも組み込み済みのサウンド車両がよいです。できるなら、ESU社の車両(日本で8万円、海外輸入で4万円)を入手すると、ギミックが超多機能でDCCの可能性を大きく感じられます。ぜひ、海外輸入を使って、お買い得で手に入れましょう。
国内のDCCreadyな車両としては、天賞堂のカンタムサウンド車両があります。ユーザーの一部が勘違いされているケースもありますが、DCCに公式対応しておりが、DCCとして使用可能です。なお、天賞堂はDCCのサポートは実施しない旨が説明書に記載されているので、ご注意ください。
2021年2月に、ESUよりKATOのNゲージ車両の一部がサポートしているDCCフレンドリーに対応したサウンドデコーダ LokSound5 Micro DCC Direct Kato Japanがリリースされました。スピーカーが配線済みで、配線の引き回しや少々の絶縁テープを貼るなどの作業で、従来と比べて比較的簡単にDCCサウンド化できるようになりました。
必要な機器
DCCには、以下の機器やものが必要です。
- レール(Nゲージ、HOゲージ、Zゲージ、Gゲージなど)
- DCCに対応した車両(後述)、もしくは車両と車載用DCCデコーダ
- DCCコマンドステーション(DCCコントローラ、DCCパワーパック)
- レールとコマンドステーションをつなぐフィーダー線
- PC・コンピュータ(自動運転制御用)
- ポイント、ポイント用デコーダ
- 在線検出器(自動運転制御用)
- その他
これに加えて、鉄道模型の究極の楽しみであるジオラマ(情景)、レイアウトを作るとさらに臨場感が高まって楽しみが倍増します。大きな面積は必要なく、小さなモジュールを作って、お座敷運転に組み合わせるだけでも臨場感が高められます。
DCCコマンドステーション
コマンドステーションは、車両やポイントなどに入ったデコーダに電力と命令を送るための機器(パワーパック)です。コマンドステーションには、いくつかの種類があります。
(1) 本体と操作器が別々
レンツのコマンドステーションや、デジトラックスの上位機種が該当し、本体と操作器が別になっています。 一番最初に登場した形態です。
(2) 本体と操作器が1つ(オールインワン)
操作器と本体が同一のケースに入っており、持ち運びしやすい形になっています。 ESUのECoS、メルクリンのCS、TwayDCCのミント缶DCCコントローラや、デジトラックスのD101シリーズが該当します。
(3) 操作器がスマホやタブレット
スマートフォンを用いて、無線で操作できるコマンドステーションです。近年登場しており、RocoのZ21やDesktop StationのDSairなどがあります。(2)の形態に、追加の無線オプションとして取り付けられるタイプもあります。
日本で入手しやすいコマンドステーション
日本で入手性の良いDCCコマンドステーションを以下に挙げさせていただきます。 電子工作ユーザーや、PC制御、自動運転をメインにする方は弊社製品を推奨いたします。逆に、完成されて単独動作のみで使用したい方は、他社品が良いです。
メーカー | 機種 | 備考 |
---|---|---|
カトー(Digitraxx) | D102(DCS51) | 単独動作可能。事実上の国内スタンダード。 後継機はデジトラックスのDS52が2019年にリリース予定。 |
ロクハン | eトレインコントローラ | スマホ操作が特徴のDCCコントローラ |
Roco | Z21 | スマホで運転できるDCCコントローラ |
永末システム | 赤い箱DP1 | 設定変更機能にフォーカスしたもの。 |
TwayDCC | ミント缶 | 世界最安DCCコントローラ |
Desktop Station | DSair2 | スマホでみんなで遊べるコマンドステーション。S88在線検出器も接続可能。自動運転もできる! |
主なDCCデコーダ
日本で入手性の良いDCCデコーダを以下に挙げさせていただきます。今では、ドイツからの輸入もそれほど難しくありません。基本的に、最初のDCCデコーダはESUをお勧めします。安定性、相性などでトラブルが少ないです。
メーカー | 製品 | 特徴 |
---|---|---|
カトー | EM13, FL12, FR11 | 入手性は良いが用途が限定されている。DCCフレンドリー車両向け等 |
永末システム | 各種デコーダ | 日本型に特化した車載デコーダなど |
Nucky | ワンコインデコーダ6 | 世界最安 500円の車載・ポイントDCCデコーダ |
Nucky | ワンコインforTOMIXv6 | TomixHO車両向けデコーダ |
Nucky | ワンコインforKATO Loco | KATO N機関車向けDCCデコーダ |
Nucky | 日本型信号機デコーダ | 唯一の日本型DCC対応信号機デコーダ |
Desktop Station | 据え置き型ポイントデコーダ | ソフトの書き換えができるArduinoベースのスローモーション・ソレノイド向けポイント用DCCデコーダ! |
Desktop Station | 据え置き型サーボデコーダ | ソフトの書き換えができるArduinoベースの完全オープンなポイントサーボデコーダ! |
名古屋電鉄 | MP3サウンドデコーダV5 | microSDカードにMP3ファイルを入れて超高音質で自由に音を鳴らせる!走行音も鳴らせる! |
名古屋電鉄 | スマイルデコーダR6N | 走行音を鳴らせる!シンプルなサウンドデコーダ。ディーゼル、VVVF、蒸気音が出せる。 |
DCC館 | スマイルファンクションデコーダ | 照明系のギミックがすごいファンクションデコーダ |
Rokuhan | A053 | Z,N,HO向け小型DCCデコーダ。量販店で入手可能。 |
Rokuhan | A059 | 室内照明&モータ制御機能付き小型DCCデコーダ |
ESU | LokSound 5 | 最高級サウンドデコーダ。オープンサウンドデータと相性抜群。 |
ESU | LokPilot | サウンド無しのデコーダ。安定性が良く高機能。 |
laisdcc | 860015 Next18 | 香港の安価なDCCデコーダ。 NやプラHOに。 |
laisdcc | 870019 MTC21 | 香港の安価なDCCデコーダ。金属、ダイキャストのHO向け |
laisdcc | 860021 NEM652 | 香港の安価なDCCデコーダ。HO向けの旧来の8ピンコネクタ向け。 |
DCCデコーダを組み込む
車両に組み込む
DCCを始めるうえで、一番のハードルは車両にDCCデコーダを組み込むことです。ヘッドライト、テールライトの制御も入れると、車両の配線が非常に複雑になってきます。
日本では、(1)自分で改造する(ゲージ問わず)、(2)NゲージならKATOのDCCフレンドリー車を使う、(3) HOなら採用されているNEM652コネクタ搭載車両を使う の3通りから選ぶことになります。
2019年夏頃から、車両搭載の作業を大幅に簡略化するExpBoardシリーズ発表し、関連製品をリーズナブルに提供しています。Next18というDCCで世界標準的に使用されるコネクタを採用し、ワンタッチでサウンドまでサポートできる仕組みを提供しています。
Nゲージ向け | EC-Slim V3 になりました |
---|---|
HOゲージ向け | KATO ExpBoard N18 KATO HO その他汎用ExpBoard N18 General HO |
DCCコネクタは以下の通り、様々なものがあります。
DCCフレンドリー | KATOが独自に開発したNゲージ用コネクタ | 詳細 |
NEM652/NMRA 8pin | 欧米で事実上の標準コネクタ。 | 詳細(英語) |
Next18 | Nゲージ向けに開発された超小型コネクタ。プラHOにも好適。 | ExpBoard N18 KATO HO |
MTC 21pin | 高機能な車両向けのコネクタ。 | 詳細(英語) |
なお、国内メーカーの鉄道模型車両について、DCCコネクタ搭載の状況をまとめたDCC対応車両をまとめて公開しています。
2021年5月末に、DCCフレンドリー向けのESU社LokSound5デコーダが登場しました。今まではEM13というKATOのサウンド無しデコーダのみでしたが、LokSound5デコーダの登場により、KATO製のDCCフレンドリー対応車種におけるNゲージでの日本型サウンドがより導入しやすくなりました。搭載記事は、こちらをご覧ください。
ポイントに組み込む
ポイントにはいくつか種類があり、気軽に試せるのはポイントの道床内にポイントマシンが組み込まれた電動ポイントにDCCデコーダを組み込むことです。以下は、KATOのHOの電動ポイントに組み込んだ例です。
もう一つはレイアウトの下にトータスのスローポイントマシンやサーボモータを使ってゆっくりと本物のようにポイントを動かすギミックを作りこむことです。以下のようなサーボポイントデコーダを使う事で実現できますが、取り付けや機構的な部分で知見が必要です。
とある鉄道博物館では、Tortoiseのスローモーションポイントを設置して、なめらかな動作を行ってます。最近は、小型にするためにサーボ化する例もありますが、実績のあるTortoiseを使用するケースもまだ根強くあります。
デジトラックスと、Nucky、DesktopStationの比較(若干、用途の違いでコンデンサの大きさが異なってます)
サウンドを楽しむ
ヨーロッパ、アメリカの車両は既に現地で、サウンドの出る車両が販売されており、入手も輸入すれば用意です。
一方で日本型サウンド車両は、一部のお店がサービスで提供している程度で、高品質なものが多くはありませんでした。 DesktopStationでは、オープンサウンドデータという日本型車両で超高品質なDCCサウンドデータを無償で提供するプロジェクトを2019年1月にスタートさせました。Youtubeで、その品質をご確認下さい。
なお、このデータを使用するためには、ESU社のLokSound V4、LokSound 5シリーズのサウンドデコーダが必要です。詳細はオープンサウンドデータのページを参照下さい。
車両に搭載するには加工が必要なケースもあります。DesktopStationでは、ExpBoard for KATO HO(NEM652)というKATO HO向けの搭載を支援する基板を販売しております。
C11:
クモハ12:
キハ40:
国鉄近郊型113系:
スマホで鉄道模型を楽しむ
アナログの鉄道模型向けに、各社がパワーパックを発売しています。アナログ向けですので、もちろん、1つの線路上に複数の車両は置けません。スロットルが単にスマホの画面に変わっただけで、何も変わりません。車両からは音もでません。ギミックもありません。
しかし、DCC・デジタル鉄道模型は違います!スマホを使うことで、楽しさがさらに上がります。DesktopStationが発売しているDSairは、超小型なDCCコマンドステーションです。
複数のスマホやタブレット、PCから接続を許容しており、同一線路上で、スマホそれぞれから、別々の車両をコントロールできます!サウンド機関車、ギミック入り車両なら、それをフルに活用できます。お子さんと一緒に、運転会でご友人と一緒に、一つの線路で和気あいあいと、遊んでみませんか?
自動運転を楽しむには
DCC自動運転ガイドを参照下さい。
関連サイト、資料など
資料
- 電子工作で面白い!鉄道模型のDCC入門 PDFをダウンロード
- デジタル鉄道模型で始める自動運転入門 ~ビジュアルプログラミングで簡単入門~ rev.0DOWNLOAD (PDF, 2.2MB)
関連サイト
- DCC同人誌 DCCに関する最新動向、様々な実験・機器紹介などをまとめています。
- DesktopStationShop Wi-Fiコマンドステーションはこちらから!
- オープンサウンドデータ 超高品質な日本型DCCサウンドデータの提供。ESU LokSound向け。なんと日本で一番の品質なのに無料です!