CV
CVは、DCCデコーダの設定を行うための仕組みです。
SmileSoundで対応しているCVをご紹介します。
デコーダリセット方法
CVを書き込んだ際に、不具合が出た場合には、以下の方法でリセットすることができます。
CV値はすべて失われますので、ご承知おきください。
- CV8に1を書き込む
- SmileSound USB Writerを使用して、CV編集を行う
- SmileSound USB Writerを使用して、サウンドデータを書き直す
CV 一覧
CV番号 | 機能説明 | 初期値 | 値の範囲 |
---|---|---|---|
CV1 | ショートアドレス | 3 | 0-127 |
CV2 | 始動電圧 | 8 | 0-255 |
CV3 | 加速時間(0.6で割った時間が秒) | 120 | 0-255 |
CV4 | 減速時間(0.6で割った時間が秒) | 90 | 0-255 |
CV5 | 最大電圧 | 200 | 0-255 |
CV6 | 中間電圧 | 70 | 0-255 |
CV9 | PWMキャリア | 0 (32kHz) | 0-12 |
CV10 | BEMF カットアウト係数 | 2 | 0-255 |
CV17 | Long Address LSB | 0 | 0-255 |
CV18 | Long Address MSB | 0 | 0-255 |
CV28 | RailCom有効設定 | 1 | 0-1 |
CV29 | デコーダ設定 | 10 | 0-255 |
CV54 | BEMF係数(16で割った値が1.0倍.48で3.0倍) | 96 | 0-255 |
CV55 | PI制御器 Pゲイン | 16 | 0-255 |
CV56 | PI制御器 Iゲイン | 32 | 0-255 |
CV57 | 蒸気機関車用・低速時サウンド発生間隔 | 0 | 0-255 |
CV58 | 蒸気機関車用・高速時サウンド発生間隔 | 0 | 0-255 |
CV62 | 省エネモード | 0 | 0-1 |
CV63 | マスターボリューム | 100 | 0-255 |
CV64 | キックスタート切替速度 | 50 | 0-255 |
CV65 | キックスタート電圧 | 0 | 0-255 |
CV67-94 | スピードカーブ | - | 0-255 |
CV118 | BEMF測定ギャップ | 30 | 0-255 |
CV124 | 拡張設定#2 | 0 | 0-255 |
CV154 | ユーザーボリューム設定 | 255 | 0-255 |
CV155-170 | SoundCV設定 | - | 0-255 |
CV175 | ヘッドライト・AUX明るさ設定 | 0 | 255-0 |
CV176 | テールライト・AUX明るさ設定 | 0 | 255-0 |
CV177 | AUX1・AUX明るさ設定 | 0 | 255-0 |
CV178 | AUX2・AUX明るさ設定 | 0 | 255-0 |
CV179 | AUX3・AUX明るさ設定 | 0 | 255-0 |
CV180 | AUX4・AUX明るさ設定 | 0 | 255-0 |
CV181 | AUX5・AUX明るさ設定 | 0 | 255-0 |
CV182 | AUX6・AUX明るさ設定 | 0 | 255-0 |
CV183 | AUX7・AUX明るさ設定 | 0 | 255-0 |
CV184 | AUX8・AUX明るさ設定 | 0 | 255-0 |
CV185 | ヘッドライト・AUX出力設定 | 0 | 0-255 |
CV186 | テールライト・AUX出力設定 | 0 | 0-255 |
CV187 | AUX1・AUX出力設定 | 0 | 0-255 |
CV188 | AUX2・AUX出力設定 | 0 | 0-255 |
CV189 | AUX3・AUX出力設定 | 0 | 0-255 |
CV190 | AUX4・AUX出力設定 | 0 | 0-255 |
CV191 | AUX5・AUX出力設定 | 0 | 0-255 |
CV192 | AUX6・AUX出力設定 | 0 | 0-255 |
CV193 | AUX7・AUX出力設定 | 0 | 0-255 |
CV194 | AUX8・AUX出力設定 | 0 | 0-255 |
CV195 | 予約 | 0 | 0-255 |
CV196 | イコライザ・低域(-800Hz) | 16 | 1-32 |
CV197 | イコライザ・高域(4kHz-) | 16 | 1-32 |
CV198 | 予約 | 0 | 0-255 |
CV199 | 予約 | 0 | 0-255 |
CV200 | 予約 | 0 | 0-255 |
CV201 | 予約 | 0 | 0-255 |
CV202 | 予約 | 0 | 0-255 |
CV203 | 予約 | 0 | 0-255 |
CV204 | 予約 | 0 | 0-255 |
CVの説明
CV1 ショートアドレス
ショートアドレスと呼ばれる基本的なアドレスモードで使用するアドレスを設定します。通常はデフォルト値3です。1-127の値を設定してください。なお、ヨーロッパ式のコマンドステーションでは、1-99の範囲となります。アメリカ式のコマンドステーションでは、1-127となります。この範囲より大きい数値は、ロングアドレス(CV17,CV18を使用するアドレスモード)として設定が必要です。
CV2 始動電圧
車両が動き始める電圧量を指定します。255が最大電圧、0が無電圧、127がちょうど半分の電圧が指標となります。おおよそ10~70あたりの値が選択されます。Nゲージは値が20以下のケースが多いです。大型車両は、大きい数値が選択されやすい傾向です。
なお、車両の重さやギア比などによっても異なります。基本的には、DSSPで提供するモータ設定ファイルをサウンドデータ書き込み時に指定の上、実車で微調整していくほうがよいです。
CV3 加速時間
サウンドデータによって決まります。CV3に設定した値を0.6で割った値が、加速時間[sec]となります。
CV4 減速時間
サウンドデータによって決まります。CV4に設定した値を0.6で割った値が、減速時間[sec]となります。
CV5 最大電圧
コマンドステーションで最大速度設定したときにモータに加える電圧量の大きさを決めます。あえて小さくすることで、危険な速度を出さないように調整することもできます。255を設定すると、線路に加わっている電圧と同じ電圧を出力します。
Nゲージで150-200程度、HO以上で200-255程度が一般的ですが、モータやギア比等で大きく変わります。速度計などを用いてスケールスピードに合わせる場合は、このCV5を主に調整していくことになります。
CV6 中間電圧
CV2とCV5の間の電圧の大きさを指定します。特に理由がなければ、(CV2+CV5)/2の値を設定してください。厳密なスケールスピードに調整したい場合に、このCV6を調整することで、広い範囲でスケールスピードに合わせることができます。なお、スピードカーブを使用しているときはこのCV値は無視されます。
CV8 メーカID・工場初期化設定
CV8に”1”を書くと、サウンドデータに含まれている初期CV値に戻します。
CV8を読み出すと、デスクトップステーションの製造者ID番号 140が読み出せます。
CV9 PWMキャリア周波数
PWMキャリア周波数を調整できます。デフォルトは0(32kHz)です。コアレスモーターを使用する場合は、高い周波数を使用してください。低い周波数を使用すると、ショートのような状況になる場合があります。
キャリア周波数が低いほど、低い速度では力強い動きをする傾向になります。なお、キャリア周波数を低くすると、モータから唸り音やキーンという音が聞こえますが、異常ではありません。人間の可聴域より高くする(6kHz以上)ことが望ましいですが、低速の走りを重視される場合は、500Hz以下などにあえて低く設定することもできます。
モータによって動きは大きく異なりますので、ご自身で調整し、最適値を求めてください。
CV9の値 | PWMキャリア周波数 |
0 | 32kHz |
1 | 24kHz |
2 | 16kHz |
3 | 12kHz |
4 | 10kHz |
5 | 8kHz |
6 | 6kHz |
7 | 4kHz |
8 | 2kHz |
9 | 1kHz |
10 | 500Hz |
11 | 250Hz |
12 | 130Hz |
CV10 BEMFカットアウト係数
モータが回転した時に発生する誘起電圧(BEMF)を無視するための係数です。
モータは停止または低速の時、BEMFが非常に小さいため、速度として扱うことが困難です。逆に、モータの回転を阻害する場合があります。そこで、このCVを使用し、一定の大きさまでは無視するように調整機能を用意しています。
通常は、2-5程度の小さい値を設定します。モータの磁石量が小さい場合や類似のケースでは、数値を大きくする必要がある場合もあります。
CV17 ロングアドレスLSB
1-100(欧州式)または1-127(アメリカ式)の範囲でおさまらないアドレスを使いたい場合、ロングアドレスを使用します。このCVは、ロングアドレスを決めるための2つのCVの内の1つです。値の範囲は、192-230. CV18と組み合わせて使⽤します。
CV18 ロングアドレスMSB
値の範囲は1-255です。 CV17と組み合わせて使⽤します。
CV29 デコーダ設定
デコーダの標準的な設定を行います。CV29に設定するための計算式は以下のとおりですが、難解なため、通常はDSSPを使用して基本設定を行ってください。また、アドレス変更はDSairLiteをご利用ください。特別な操作なく、簡単に自動でCV29の内容を適切に変更できます。
Bit | 機能 | 値の意味 |
0 | 進行方向の基準方向設定。FWDとREVを入れ換えできます。0のとき: 進行方向はそのまま,1のとき: 車両の進行方向の基準を逆にします。 | 0: FWD, 1:REV |
1 | 速度ステップ。速度の変化の滑らかさ。通常は1を設定。0: 古い14step信号で動作します。1: 28または128stepの速度分解能を有効にします。 | 0: 14steps, 1: 28/128steps |
2 | アナログ運転機能。SmileSoundは未サポート。 | (値は無視されます) |
3 | RailCom/Bidiの使用(走行中通信)。0のとき: RailCom/BiDiは使用しません。1のとき: RailCom/BiDi信号で反応します | 0: 未使用, 1:使用 |
4 | スピードテーブルの利用。0のとき: CV2,CV5,CV6を速度カーブに用います。1のとき: CV67~CV94で定義された速度カーブを使用 | 0: 未使用, 1:使用 |
5 | ショートアドレス/ロングアドレスの指定。0のとき: CV1をロコのアドレスとして使用します。1のとき: CV17,CV18をロコのアドレスとして使用 | 0: ショート, 1: ロング |
6 | 予約 | |
7 | 予約 |
CV54 BEMF係数
BEMF係数。16で1.0。64で64/16=4.0倍。PI制御しているときのみ、走行速度に影響します。値を大きくすると、最高速度は遅くなる。小さくすると速く走行します。モータやギア・車輪等のメカの構成よって適切な値が変わるので注意。Nゲージ車両だと64-128あたりとなります。HO・16番では、車両の内部構造・ギア比・モータ特性が大きく異なるため、数値は車両ごとに決める必要があります。
CV55 PI制御器 Pゲイン
BEMF PI制御モード Pゲイン。BEMF機能で検出した速度と、コマンドステーションから送られている速度指令の差に、Pゲインをかけてモータに出力する。大きくすると、変動が激しくなるが速度に追従しやすくなる。
CV56 PI制御器 Iゲイン
BEMF PI制御モード Iゲイン。BEMF機能で検出した速度と、コマンドステーションから送られている速度指令の差を積分した結果をモータに出力する。大きくすると積分の効果が弱まる。
特に低速で、BEMFの検出が揺らいでノッキング的に動く場合、数値を少しずつ下げて改善するかを見てください。積分時間がながければ長いほど、モータに流す電圧の変化を緩慢にします。
CV56の値 | 積分時間 |
255 | 0.050 秒 |
128 | 0.100 秒 |
64 | 0.199 秒 |
32(デフォルト) | 0.398 秒 |
16 | 0.797 秒 |
8 | 1.594 秒 |
4 | 3.188 秒 |
2 | 6.375 秒 |
1 | 12.750 秒 |
CV57 蒸気機関車用低速時サウンド発生間隔
走り始めの時の蒸気音の時間間隔[10ms]を調整するCVです。設定した値の10倍の数値が足されます。1を入れると10msが足されます。
CV58 蒸気機関車用高速時サウンド発生間隔
最高速度時の時間間隔[ms]を調整するCVです。設定した値の1倍の数値が足されます。1を入れると1msが足されます。
CV62 省エネモード
サウンドONかつ、走行状態になると、内部のコンピュータの不要な回路を停止させて、省エネモードにします。DSSPとの通信に必要な回路等を停止させます。DCCの運転には一切、影響ありません。通常は、0を設定してください。
0で有効,1で無効。
CV63 マスターボリューム
デコーダ全体のマスターボリュームを設定できます。
CV154 ユーザーボリューム
CV63に対して、ユーザーが自由に設定できるボリュームです。CV63×CV154が、実際のボリュームとなります。オープンサウンドデータのF7で操作できるボリュームは、CV154となります。
CV175-184 AUX明るさ設定
CV175からCV184は、ヘッドライト・テールライトのPWM出力における明るさ(Duty)を設定できます。
注意点としては、0が最大(Duty100%,一番明るい)で、127が半分の明るさ(Duty50%)、255が消灯(Duty0%)となります。
CV196 イコライザ・低域
低域(800Hz以下)のサウンド成分を大きくしたり小さくしたりできます。
1-32の値を設定してください。16が低域成分変更なしとなり、17~32が低域の増強量、1-16が低域の減少量の設定となります。
本機能は、スピーカー自体の特性やエンクロージャ、スピーカーの固定方法・固定箇所、周囲の構造に大きく影響を受けます。特に小型のスピーカーや薄く小さなエンクロージャでは、期待する低音増強効果が得られない場合がありますので、予めご了承ください。
CV197 イコライザ・高域
高域(4kHz以上)のサウンド成分を大きくしたり小さくしたりできます。
1-32の値を設定してください。16が高域成分変更なしとなり、17~32が高域の増強量、1-16が高域の減少量の設定となります。